引き込まれる!

 『衣・食・銃』は、際限のない没入感が得られる作品でした。

 物語の舞台は、近未来の衰退しつつあるアメリカで、安全地帯と無法地帯がはっきりと分かれるような世界観です。
 この世界観で、合理性を軸にした現実味が読者を引き込みます。

 例えば、作中では、安全地帯に住む富裕層が“運び屋ギルド”を運営し、主人公はそのギルドの一員です。
 
 現実でも、一昨年辺りに、アメリカでは、富裕層グループが街の一区画を、自治区にしようと活動していたという報道がありました。

 正に“近未来”

 私たちは、作品の息吹を実体験のように感じることが出来ると思います。

 また、主人公である、“レタ”の無法地帯で生き抜くための合理性。これも重要な要素です。
 彼女は、衣類、装備、思考まで目的のために洗練された合理性を持ち、これは、主人公たちの考えや行動を、読者がすんなりと理解でき、巻き込んでくれます。

 そして、彼女たちを、襲うのは、この“彼女の信奉する合理性”から外れた事柄なのです。

 ストーリーは堅実で、描写はスムーズ。
 まるで、彼女たちの行動を追体験したようでした。

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