夢で見たあの場所へ

三枝 優

ドライブインにて

峠道の途中にある、さびれたドライブイン。

旅の途中で立ち寄ったのだが・・・

”ちょっと似ているけど、やはりここは違う”

自販機にてミネラルウォーターを買う。


今はお盆休み。

なので会社は10日間の休みである。

長期の休みになると、僕は車に乗って旅に出る。

当てのない旅。

旅館やホテルを予約もしていない。

どこにも泊まれなかったら車中泊やテントで寝泊まりする。


旅の途中でドライブインに寄る。

いや、ドライブインに寄ることがもはや目的になっている。


なぜって?

高校生の頃、寝ているときに見た夢。

今も鮮明に覚えている。


峠道を車で走っていると、右カーブの途中にさびれたドライブインがある。

時間は朝。

休憩がてらドライブインに寄った僕は、牛乳を買ってベンチで飲む。

すると、背後から明るい声をかけられる。

「何してんの?」


明るい日光の中、輝くような笑顔。

白いワンピースに麦わら帽子の少女。



寝ている間の夢だとわかっている。

でも、なにかその夢はあまりにも鮮明で・・・輝いていて。


どうせ、当てのない旅。

だったら、あのドライブインを探したっていいじゃないか。



峠道を探してはドライブインに寄る。

もちろん、あの少女がいるなんて思ってはいないのだが。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

夢で見たあの場所へ 三枝 優 @7487sakuya

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ