第15話同じじゃない
土曜日、嵐のような親が天使を連れて帰還してから次の日の日曜日。俺は天使である妹、英利をベビーカーに乗せて、近場のショッピングモールに来ていた。
「真名、わざわざありがとう」
「私が来たくて来たから気にしないで〜英利ちゃんも元気〜可愛いでしゅね〜」
甘ったるい声を出し、英利のほっぺたをつんつんする真名。
「あ〜」
手を微かに伸ばして真名を触ろうとする英利。
『可愛すぎるっ!』
2人してハモった。
それを見て、面白かったのか英利がにこぉっと笑った。
『天使っ!』
―――
しばらく2人で英利の天使レベルの可愛さによって浄化されてから。ベンチで今日の事について話す。
「それでベビーチェア見に来たんだっけ?」
ベビーチェアとは、赤ちゃんの頭や体を支える造りになっている赤ちゃん用の椅子で育児には欠かせないものである。
「うん。姉と俺が使ったのはあるんだけど、英利には新しいのを買ってあげたくてネットで買おうと思うんだけど実物見ておきたくて」
「お金出そうか?」
「いや、自分で買う。俺の愛を俺のお金で形にしたいし」
「私も……なんか他に英利ちゃんに買ってあげれる物ない?」
「いや、でも真名にウチの事でお金出させるのは……」
これではまるで……
「せい」
真名にデコピンされた。
「人の事言える立場?サウナスーツ自腹で私にくれた晴人には言われたくないよ」
「いや、それは……」
自分の快楽のためと言おうとしたら、真名の顔がグイッと近づく。そして真剣な眼差しで見られる。
「それ以上話したら襲います」
「……」
「……私がプレゼントしたいって言ってるの」
「なら、分かった」
「分かったならよろしい」
「……小さい子、0〜3歳児向けの絵本とかいいと思う、筋トレの本とラノベと漫画しかないからウチ」
後々、自分でも英利に絵本買おう。
「あ、いいね」
「でも姉が昔、図書館で借りてきた絵本を読み聞かせしてくれたのをうっすら覚えてる。絵本って高いからってわざわざ借りてきてくれたんだ」
「ほんとにいいお姉さんだな!!」
「だね、……と、じゃあそろそろ行きますか。先にベビーチェアでいい?」
「うん」
話している間に、寝てしまった英利を眺めながら2人でモール内の赤ちゃん専門店に向かう。
―――
「たくさん種類あったね!!!」
「うん」
流石に見るだけは申し訳ない気がしたので、生後7ヶ月からのたまごボーロというのが売っていたので買った。
「1番いい感じのやつ……ベルトが着いてて、安全性高そうなやつ、やっぱり実物見に来てよかった」
「ふふ、よかったよ!!!」
「……なんかテンション高くない?」
「だって、夫婦に間違えられたんだもん!」
「……」
店員さんに声をかけられたのだがその時に、「ご夫婦」と言われ、間違われてしまったのだ。
まだ17歳です。結婚できません。
「よし!絵本買いいこー!」
「うん」
「あ〜」
英利の声がしてベビーカーの中を覗くと手を伸ばしながらにこっと笑う天使がいた。
『天使!』
―――
本屋の中なので、英利の事が気になったが本屋に入った途端すやすやと寝てしまった。
「ほんとに良かったのこんなに……」
「いいの!英利ちゃんが可愛くて仕方ないだけだから!」
絵本コーナーの、0〜3歳児向けの本を20冊ほど買った椎名さん。
総額1万8千円。やはり絵本とは結構いい値段がする。
「私が英利ちゃんに読み聞かせしたいし、晴人とお姉さんが読み聞かせしてるとこ見たいの」
「でも……」
「襲うぞ」
「……分かったよ」
「襲う事に対してのアンサー?」
「違う」
「はぁ……晴人」
「なに?」
「晴人は、私にお金を使わせてる事が気になってるんだよね」
「うん」
「藤瀬と同じだって」
「……うん」
「同じな訳ないじゃん、晴人のその気持ちは私を思ってくれてるからでしょ?他人を思いやる上での気持ちを持つ晴人を、他人の想いを踏みにじるようなやつと絶対一緒にしないで」
「分かった」
「私に二度とこんな事言わせないで晴人の事が好きで仕方ないんだから」
「ありがとう」
「どういたしまして」
帰り道、俺はある事を決心した。
実家がダイエットジムでざまぁが大好きな俺はリアルざまぁが見たいので金ヅルデブスと罵られていた女子(痩せたらめちゃくちゃ可愛い)を利用する事にした。〜利用しただけなのになんで惚れられてるんだ(困惑)〜 アサブクロ @asobigoo
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