第14話親の帰還
「ただいま!帰ってきたぞぉ!」
体を動かそうという事で真名とサンドバッグを叩いているとジムの中にデカい声が響いた。……頭痛が。
「ただいま帰ったわよォ!」
「……帰ってくるなら事前に連絡して……あれ?なにその手に抱えてる赤ちゃんは……」
姉の震え声。
「産まれちゃったわ!生後9ヶ月!」
「晴人ぉ!お前兄ちゃんになったぞぉ!妹だ!」
「はぁぁぁぁぁぁ!?」
2年ぶりに帰ってきた親が妹を作って帰ってきた。
―――
「いや、我が息子も隅に置けないな!晴人みたいなイカレ野郎が彼女作ってるとは思わなんだ!」
「アンタには言われたくねぇわ」
「あの晴人がまさかねぇ!」
「晴人のお父さんにお母さん、初めまして。晴人さんの彼女の椎名真名と言います」
「しかも可愛くていい子だ!」
「ヒューヒュー!」
相変わらずノリが騒がしいな……って真名って彼女じゃない。友達だ。
「ちょっと真名俺たちってまだ……」
「ん?何かな?まだって」
「なんでもないです」
……これもアピールって事か。正直怖いからこの場はそれで通そう。
「てか、それより。俺の妹について知りたいんだけど」
早く抱っこしたい。現在進行形で母性がやばい。
「名前は?」
「イギリスで産まれたからな!
晴れの日に産まれたから晴人って付ける単純な名付け方は変わってないのか。ちなみに姉は雪の日に産まれたから雪である。
「ほら、抱っこしていいわよ」
「英利ちゃん……」
すやすやと寝ている天使の頭の後ろから首の下に手を入れ、もう片方の手を股関節から差し入れてお尻を支えるように添える。 首を左腕で支えてそのまま体を持ち上げて引き寄せ、胸の近くで支える。
赤ちゃんの抱き方は調べて熟知しているが不安になってきた。
「これでいい?」
「それでいいわよ」
「う」
俺が抱っこしたて少ししてパチリと目が開いた。目がぱっちりしてて可愛い過ぎる。
「英利〜お兄ちゃんだよ〜」
「晴人が赤ちゃん抱っこして猫なで声出してる……!やばい……いい」
「うあ」
英利が小さな手で俺の指をキュッと握った。
「かわいいいいいいいいいい……」
膝から崩れ落ちそう。
「その子あんまり泣かないのよ!人見知りもしないし!晴人も雪も赤ちゃんの時は泣いてなかったから……うちの子達は大人しくて助かるわ!」
「まあ俺の子達だしな!」
ガハハと笑う父の声で腹が立たない。これが赤ちゃんの力か。全てを癒す効果がある。
「……晴人、私にも抱かせて」
突っ伏していた姉がムクリと起き上がってそう言った。
「……はい。横抱きだからね」
離したくないが姉だからな。
「大丈夫。アンタが小さい頃抱いた事あるから」
そう言って英利を抱っこする姉。
「う」
姉の指をまたもやキュッと握る英利。
「……っ可愛いわね」
「う〜」
次に姉の顔に触れようとしてるのか、手をプルプル動かしている。
「やべぇ……美しい」
赤面してるツインテールの美人な姉が天使の様な妹を抱いている……神々しいまですらある。
―――
「とりあえずお母さん達は英利が3歳になるまではこっちにいるから!」
「こっちでする事もあるしな!」
「てっきりまたすぐ行くのかと思った。こっちでする事ってなによ?」
姉が英利のほっぺをぷにぷにしながら言う。ズルいな。
「俺たちはそんな薄情じゃないぞ!で、こっちでする事というのはな。このジムを日本中に広げる事にした!海外で色んな伝手を得てな。優秀な人材と、融資を貰った!」
「億万長者よ!」
「……マジで?」
「アンタ経営だけは凄いからな」
「ガハハ!」
あー腹立つ。英利を見よ。……治まった。
「待ち受けにしてと……ふふっ」
「真名はさっきから一体何をやってるの?」
今さっきから1人でスマホをいじってふふふと笑ってる。ざまぁ小説を読んでる俺みたいな感じに。
「え?スマホの待ち受けを英利ちゃん抱っこしてる晴人の画像にしようと思って。あ、私も英利ちゃん後で抱っこしていい?」
「いいけど、気をつけてね」
「あ……じゃあ安全な抱っこの仕方教えてよ」
「うん、いいよ。まずは頭の後ろからこうして……」
「……ラッキー」
「ん?何か言った?」
真名が小さく何か呟いた気がした。
「なんでもないよ!さ、続きを」
その後抱っこの仕方をちゃんと教えたのだがその最中笑う真名が怖かった。
―――
久しぶりです。更新遅れてすみません。今回イチャイチャ少なくてすみません。どうしてもこの人たちを出したく。必ず更新しますので待っていただけると幸いです。
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