都巡り-1
京也が通っている学校は中高一貫校で
中学三年次、高校二年次に修学旅行がある。
高校二年生の京也は、友達の奈良谷亮介と
翌日から始まる修学旅行の計画のチェックを
行っていた。
修学旅行は二泊三日で初日は班単位での行動となり二日目三日目は自由行動となる。
初日のイベントは
酒蔵見学、着付け教室、二条城や金閣寺などをめぐる参拝コースがあり
その中から京也と亮介の班は酒蔵見学を選んだ。
京也としては、参拝コースに行きたかったのだが、
それなら二日目に行こうと亮介に諭されたため酒蔵見学にした。
同じ班員だった生徒もそっちの方が興味があったらしく、
満場一致?で酒蔵見学になった。
「明日は班単位の見学で酒蔵に行くだろ。
明後日の自由行動のプランはあのままでいいか?」
亮介はカバンの中から-おそらく自分で作ったのだろう-
時刻とイベントがびっしりと詰め込まれたプリントを取り出した。
「うん?そのままでいいけど。何かあったっけ?」
「いや、特にないけど。なんとなく?」
「なんやそれ」
亮介の曖昧な答えに京也は笑って返した
京也と亮介はそのプリントを見ながら近くのカフェに入ることにした。
下校時間のためか学生が半分以上を占めている。
京也はブラックを亮介はウィンナーコーヒーを頼んだ。
やつれた顔の店員が二人のコーヒーを持ってきた。
二人は普段よりも時間をかけてそのコーヒーを飲みながら一時間ほど話し合ってから店を出ることにした。
「亮ちゃん、京ちゃん、今から帰りですか?」
二人が店を出るとストレートの黒髪を腰まで伸ばした眼鏡をかけたクールな少女が話しかけてきた
「あ、生徒会長」
亮介は彼女の姿を見るや否やそう呟いた
「亮ちゃん、生徒会長はやめてって言ってるでしょう。私は古川さんって呼ぶか昔みたいに遥ねーちゃんでもいいよ。」
「嫌だよ恥ずかしい、生徒会長でいいの。」
「もう、頑固だな」
古川は京也と奈良谷の一つ上の学年で奈良谷の幼なじみで普段はクールな性格である
その為このような姿をさらすのは亮介の前だけなのだが、ある時京也に見られてしまい京也に対してもお姉さんを気取るようになった。
「お久しぶりです、遥姉さん。」
「ほら、京ちゃんだってこう言ってくれてるじゃない、亮ちゃんだって恥ずかしがらなくていいのよ。」
「京也、わざわざ付き合わなくていいぞ」
亮介が苦い顔をしてそう呟いた
着崩し小町録 神家つばさ @yamaso-kapibara
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