その後――

「――奈桜。ホントいまさらというか――なんというか。こういうのわからないし。誰に聞いて良いとかわからないから――えっと、とにかく。俺と――結婚してください」


 村の鍛冶屋さんとかに協力してもらい作った指輪を奈桜に渡す俺。


 突然のことで空を眺めながらのんびりしていた奈桜がフリーズしている。

 いや、そこそこ長く奈桜とは一緒に住んでいるし。村というか。この世界でもちゃんと結婚というのか。そういう概念?みたいなのは人の中にあるらしく。いろいろ聞いた結果――俺もそろそろちゃんと一区切りした方がいいのではないかと思ったからこんなことをしている。

 ちなみに準備期間――そこそこ眺めだ。仕方ない。マジで材料とか集めるのに時間かかったし――さりげなく、奈桜の指のサイズ確認とか大変だったし。


 ちなみに――ここまで長く一緒に居るから――投げ捨てられるということはないと思っていたのだが――果たして?って、奈桜静かじゃね?などと思いつつ俺はちらっと頭を上げると――。


「……」


口に手を当て奈桜固まっていた。


「奈桜?」

「――あっ。いや――その――桜太君。そういうことするタイプとか思ってなくて。意外過ぎて――」

「まあ自分でも準備しててちょっと思った。俺――どうしたんだろうって」

「ふふっ。にしても――これ作ってたんだ、納得納得」


 俺が渡した指を眺める奈桜。って――あれ?知ってた?


「えっと――奈桜さん?」

「うん?」

「もしかして――サプライズになってない?」

「桜太君」


 すると、クスクス笑う奈桜。うん?


「えっと?」

「さすがに――バレバレだよ」

「……マジか」

「でも――うれしい」

「ちょ」


 すると、奈桜がそのまま飛びついてきた。何も受ける準備などしていなかった俺は尻もちをつく。


「ってか、桜太君」

「はい?」

「一緒に住みだして何年?」

「いや――さすがにそれは――わからん。数えてないし」

「――まあ私もだけど――遅すぎる気がしませんかね?待ちくたびれたんですけど」

「……俺怒られてる?」

「まあ」

「えー」


 ちなみにそんなことを言っている奈桜だが。顔はニヤニヤ。嬉しそうにしているから――問題なしらしい。そう信じたい。


「――ねえねえ」

「うん?」

「こういう時することあるよね?もう何年も待たされているんですけど?」

「……えっ?」


 おっと、全くわからないぞ?奈桜は何を求めている?


「……うわー、桜太君これわかってない顔だなー」

「いや、うん」

「素直でよろしい。って――キスでしょ」

「……なるほど」


 うんうん。確かに。全くその選択がなかったというか。今までそういうことにならなかったというか。意識すると――ヤバいな。


「――桜太君?」


 すると、目の前に奈桜の顔――って、そうか抱き合っている状態だしな。すると、奈桜が目を閉じた。


「えっと――」


 幸い外だが誰もこんなところには居ないだろ。俺は――そっと奈桜の口に――って、めっちゃ甘い香りがする――そしてやわらかい。こんなに一緒に居たのに――知らないことまだまだあるんだな。


「――」

「えっ?」

 

 すると、奈桜がもごもご動き出し――って、いつの間に目を開けて、俺を睨んで?いた。なんで?と口を離すと――。


「――桜太君」

「えっ?」

「ちょっとがっつきすぎでは?」

「ほえ?」

「――気が付いてないと思うけど――今軽く3分は過ぎてた」

「嘘?」


 いやいやうそでしょ。


「――ほんと。うれしいけどさ――さすがに――うん。恥ずかしくなった」

「マジ?全然――一瞬にしか」

「いやいや、桜太君妄想の世界にでも入った?」

「――いや」


 多分大丈夫。


「……それにここ外」

「いや、大丈夫かと」

「でも――ねえねえ」

「うん?」

「――続きは中で」

「続き?」

「もう、なんで私が教える――って、私ががっついてない?」

「どうしいた?」

「い、良いから――ほら」


 すると、立ち上がった奈桜が以前みたいに俺の腕を掴んで引っ張り歩き出した。目的地は――室内らしい。

 って、なんかいつも俺引っ張られているな。


「――ちなみに桜太君」

「うん?」

「――私――その、ずっとこうやって過ごしていくんだし。子供は――たくさんほしい――かな?」

「――うん!?」


 どうも俺だけ何かズレている?とにかくそのあとのことは――言わなくていいな。 

 まさかの奈桜が「待たせすぎじゃ!」とか、大暴れするとか――思ってなかったし。って――まああれだ。今日も死後の世界で俺たち元気に過ごして――っか、なんか新しいことどんどんしています?かな。

 まだまだ下手すると永遠に続く俺たちの日々――どうなることか。

 っか、どうでもいいことかもしれないが。俺たち。死なない異世界人?というか、俺たちから生まれた子って――どうなるんだろうな?そもそも成長――いや、生まれるの?って――今はそんなことより。奈桜のお相手しないと。ガチギレされたらだからな。

 どうやらここでは――常に奈桜が上みたいなのでね。元気なこった。


 ハッピーエンドは続く――。

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明日最期を迎える俺と案内人。そして―― くすのきさくら @yu24meteora

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