SS さくら
「うーん。ここどこ?」
俺たちは現在草原の中を彷徨っていた。いや――迷子じゃないぞ?見晴らしはいいし。周りは――何もないからな。森の中で迷子になっているとかじゃないので、大きな問題ではないはず――。
「ちょ、桜太君。まさかの迷子?」
すると、俺の横を歩いていた奈桜が少し口を尖らせながら声をかけてきた。どうやらそろそろ歩き疲れたらしい。
そりゃもうかれこれ数時間歩いている。最近の俺たち休みなくはきついからな。そろそろ休憩しないとか。
「いや。村の人に聞いた通りなんだけど――ね。この道をまっすぐ行けば――ってそれに目立つ言っていたから」
「でも桜太君今のところ何も見えないよ?ここ――どう見ても草原のど真ん中だし」
「だよなー。この緑の中なら桜目立ちそうなのに――」
今の俺たちは桜を見に行くため移動中である。いや、俺たちの名前には偶然桜が入っているって――いうこと前にも言わなかったか?言ったよな?そしたらこの世界にも桜があることを知り。また家にも桜を植えたのだが――この世界というか。少し離れたところに桜の町があるとか聞いたので俺たちは見に行こうということになって出発したのだが――今のところ見つけれていない。
「ねえねえ。桜太君」
「うん?」
「肩車して」
「いや、肩車したところで見えたらびっくりだろ」
どう見ても数キロ先まで草原が四方八方広がっているからな。ってか――なんでこの世界。なんでもあり――と見せかけて、瞬間移動とか移動に関する便利さがないのか。不親切だわ。
「肩車ー」
「ガキかよ」
ちなみにこの世界に来てからしばらく経っているが俺たち成長していない。いや。成長していないというと――だが。なんというか。俺たち死ななないからというか。とにかく。死んだときのままの姿で固定というか――俺は高校生。奈桜は中学生というか。まあなんか兄妹みたいな感じなんだよな。あっ。でも精神年齢?心の中では完全に大人になったな。それだけ長くこっちで済んでいるし。ちなみにこっちにお酒美味いぞ?どうやって作っているのかは知らないが。なかなかうまい。
村の人が進めるだけのことはあったよ。って、花見に酒必須だよな――って、そうだそうだ。俺たちそういうのはすぐに出せるんだった。
「桜太君?」
「あっ、悪い」
「なんか今――変なこと考えてた?」
「全く」
「変な妄想してたね。さいてー」
「おい」
「うそうそ。って、肩車してよ。何か見えるかもしれないし」
「単に疲れただけど」
「そうともいう」
「ならおんぶでいいだろ」
「せっかくだし」
「――」
せっかくだし肩車――謎だな。っか、さすが見た目が中学生というか。そもそも小柄だった奈桜。乗せても軽い。このまま歩けるな。とか思っていたら――。
「あっ。桜太君。あっち!」
急に首の向きをかけられた。いやいや折れるから――死なないけど――。って、何か見つけた奈桜に首の向きを変えられたが。特に何も見えない。緑が広がっているだけだ。
「何もなくないか?」
「違う。この先に少しピンク色が見える」
「どれ?」
「もう。桜太君意外と小さい」
「なら奈桜が肩車してくれ」
「無理だよ。それいじめじゃん」
「って――まっすぐか?」
本当にこのちょっとの差で見えるのか?と。不思議に思ったが。奈桜が自信満々に言うので。俺はそれに従うことに。ちなみに――なぜか奈桜を肩車して進むことに。いや。草原。あと、ここ一応モンスター居るからね。その場合って、しりゃ俺たちどちらももう強いけどさ。って、余計なこと考えないでおくか。フラグになりそうだし。
そんなこんなで俺は奈桜を肩車して歩くこと少し――まさかの、まさかの。だった。
「うぉぉお」
「すごい、綺麗」
先ほどまでは全く見えなかったのだが。少し丘を越えたら――谷底ではないが。少し土地が低くなったところに小さな村があった。そしてそこは――全体に桜の木があった。村全体が淡いピンク。ちなみにこっちの世界。桜が咲くサイクルが早いとか――まあちゃんと調べたことはないがな。とにかく。今は満開だ。
目的地を見つけた俺たちはすぐに村の方に――すると、やはりこちらでも花見はするのか。そこそこの村人。または他から来たという人がいた。いや、異世界で花見。なかなかだな。
ちなみに見た目学生でも中身は大人の俺たち。美味い酒と、つまみでしばらく桜の町を満喫し――帰りに桜の木を少し分けてもらったのだった。
俺たち死後の世界を満喫中だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます