エピローグ



 一年後、季節はまた春になった。高校二年生だった俺は三年生に上がり、受験生へとクラスチェンジをした。つい最近までは進学することは考えられなかったのに、冬雪と再会してから沢山勉強を教わったせいで大学へ進学できる学力を手に入れることができた。

 これも全て冬雪のおかげ、アイツに出会えたからこそ自分の弱さを知ることが出来た。周りの人の優しさを気づけるようにもなった。





「よしっと……」





 目覚まし時計が放つ奇声を止め、重たい瞼を擦りながら肩までかかった髪の手入れをする。朝食を食べ、リボンをつけて気慣れたスカートを履いた俺はいつものように愛しい人が待つ玄関に行く。インターホンを鳴らして、数分経つと急ぎ足で扉が開いた。







「ご、ごめん!」







「相変わらず寝坊ばかりしてるなぁ、俺が起こしに行こうか?」





 カバンから櫛を取り出し、寝癖がついた冬雪の髪を梳かしていく。冬雪は俺がいないと朝が中々起きられないタイプだ、やっぱり冬雪の傍にいないと心配で心配で仕方ない。







「あまり私の寝顔見られたくないから、大丈夫だよ!」





 恥ずかしそうに照れる冬雪を横目に俺は隣の桜の木を見る。今年はどんな出会いがあるのだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ケンカ負け知らずのヤンキーが女装してお嬢様の専属メイドになるようです デトロイトのボブ @Kitakami_suki

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ