2章までは良い。

単純明快かつ分かりやすい勧善懲悪の物語を
設定的にも下積み的にも積み上げた主人公が
爽快に駆け上がる話という事でまとまっている。

日常や戦闘描写もくどすぎない程度に必要な
文章が整っているという感じで、やや
急ぎ足ではあるが全体としては手堅い作品だと感じられた。

2章までは。

3章からは、突然とも感じるくらいに唐突なエピソードが都度挟まれ、
未だ付きまとう実家の問題を始め数々のエピソードがひどくまと
まりのない形で列記し、書きたい話をとにかく積み上げたという
印象で残念。伏線というよりはオチを書いていないだけの話という点が強く
ストレスがたまる話が多い。
加えて作者さんはハーレムを書きたかったのかが分からない主人公の思考と
一致しない唐突にワラワラと現れるヒロイン候補は謎。
巻き込まれ型ハーレムにしても突然ワラワラと湧いて出てはささっと
退場していくヒロインは一気に出す必要があったのかが疑問。
ハーレムタグは付いているが、どのヒロイン候補も印象が薄く突然
湧いて出た感は否めず正妻一人で問題なかったのでは。
無理にハーレムにする必要性は現状、この作品には無かったように思える。

他には設定の粗が酷く、派閥やら国やらの仕組みや権力関係などが
作中表現から得られる情報から判断してキャラの行動とマッチしておらず
名前負けした舞台装置という印象で国としての仕組みは大丈夫かと心配になるレベル。
一応三派が存在するらしいが、主人公サイド側の貴族以外はどれも皆
ただ権力に固執した頭の悪い愚物というだけで派閥の主張とやらに沿う
キャラではなく違和感の方が強い。3章の貴族の何処に王族を盛り立てようとする
精神があったのか。これでウォーカー家と同じ派閥と言われても理解はしがたい。

結果として作品の売りと良さを2章まででしっかり固めていたのに、
3章が全部潰してしまっているという非常に勿体なく非常に惜しい作品。
個々のポテンシャルは高めだというのに
細かな失点が全体の評価を下げているのがたまらなく残念だ。

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