第10話 ぼくの彼女はついている。
「なんじゃこりゃああああああああああああああ!」
ぼくは誘拐事件から助けられて事情を聴くために谷口家へ来ていた。
そしたら、リンゴが向かったトイレの方から松田優作の叫び声が聞こえて来た。
いや、似てるけどさ。
似てるけど、女の子が出していい声じゃないよね。
「リンゴちゃんどうしたんだろう。兄さん見に行く?」
「いや、トイレだし流石に見に行くわけには――」
とか言っていたらドタバタドタバタとリンゴがやって来て、
「タイヘンタイヘンタイヘンタイヘンタイ、ヘンタイせんぱ~い。」
「だから君何歳だよ。」
「そんなことよりこれ見てください。」
そう言ってリンゴはぼくの目の前でスカートをたくし上げた。
そこにはパンツが無くて、代わりにありえざるモノがぶら下がっていた。
そう、ぼくの彼女にち〇こが付いていた。
「たっだいま~~~~。」
そこに折よくと言うか間が悪いと言うか、リンゴの両親が帰って来た。
位置的にぼくの頭が邪魔になってリンゴのコレは見えてないだろう。
つまり僕がリンゴのスカートの中を覗き込んでるように見えてるはずだ。
しかも、リンゴは涙目で自らスカートをたくし上げている。
さて、どんな誤解をされるかな。
「…………お邪魔しました~~。」
そう言って出ていこうとするお2人だった。
「単刀直入に行こう。拓海君が一番気になるのはご両親の安否かな。」
「いえ、リンゴのムスコについてですが、――って、なんですか。ウチの両親になんかあったんですか。」
「君が襲われた時間に家の方にも襲撃があってね。大丈夫、
お母さんには傷一つ付いてないよ。しかし、お父さんの方は残念ながら――――。」
「何があったんですか。」
「今日も残業で帰れないらしい。」
またか。憐れ父さん。
「とまぁ、そんなわけでご両親の無事は確かだよ。」
そう旭さんは言ってくれる。
「それでリンゴのムスコは――。」
「それで君が狙われた理由だが――。」
「そっちよりリンゴが気になる。」
「うむ、君がリンゴを心配してくれるのは嬉しいが、そっちは柚子さんが調べてるからちょっと待ってね。」
と言われたのおで仕方ない。待ちましょう。
「では、ぼくが狙われた理由やアイツらのことは分かるんですか。」
「うむ、君のお父さん、そしてさくらさんのお母さんの血筋、これは祢津と呼ばれる家系なんだ。」
と、ポテチを摘まんでいたさくらも興味を示した。
「って、お前飲み食いできるようになったの。」
「おおう、言われてみれば。」
「それもリンゴとの契約によるのか、奴らの儀式によるのか。」
「なんか関係あるんですか。」
「祢津家は昔は神をこの世に結び付ける依り代の役割をおびたそうだ。そして今回君をさらったものはその血筋を利用しようとしたみたいだね。」
「そんなことももう知らべたんですか。」
「調べたというか、推測だが、――その君が連れてきた子。」
「ぼくの名前はマッチーだ。」
さくらと一緒にポテチを食っていたマッチーが答える。
「うん、マッチーだね。そのマッチーちゃんが奴らにヨモツマガツと呼ばれてたそうじゃないか。」
「はい。そう言ってました。」
「ヨモツマガツと言うのはね、こちら側ではなくて黄泉の国、地獄なんかで生まれた鬼のことを言うんだよ。」
「それって何か違うんですか。」
「拓海君は「古事記」は知らないかな。黄泉の国とは死者の国、大昔に神様によってこの世と分け隔たれた場所だ。そして、死者の国で生まれるものは死した国生みの神の子、つまり神様とされるんだ。」
「マッチーて何かの神様?」
「知らない。」
マッチーに聞いてもそう返された。
「奴らが何を企んでマッチーちゃんを使ったかは分からないが、何かしらこの世につなぎ止めたい力があったのだろう。」
「で、そのボンド役にぼくは攫われたということですか。」
「たぶんね。」
「この先も狙われるんですかね。」
「かもね。でも安心して。これからは我が家も本腰を入れて護衛に当たるから。」
「ありがとうございます。」
「それでリンゴは――。」
と、話を切替ようとしたら、
「お待たせしました~。」
と柚子さんと柚子さんに連れられたリンゴがやって来た。
リンゴは恥ずかしそうにスカートの裾を掴んでいる。
「はい、まずはみんなが疑問に思っているリンゴについてたアレですが、何と、尿道の通ったお〇んちんでした。しかし玉はない。でも前立腺はある。」
いや、そんな生々しい報告はいらないから。
「ようは女の子なんだけどお〇んちん生えちゃった二成りっ娘に成っちゃったのよ。あと、ちゃんと起つわよ。」
「お母様。そんなことは言わなくてもいいです。」
「で、なんでこうなっちゃったかと言うと、さくらさんとの強引な契約と力の行使ね。」
「うぅ~~~。」
「まあ、陰陽道にはこういうこともあるけど続けるかい。」
旭さんがそう聞いて来たのでぼくは、
「もちろんです。また襲われても自分の身は守れるようになりたいですし、さくらも取り戻したい。それに、マッチーのこともありますからね。」
「うんうん。そうか良かった。」
と旭さんは話を締めくくる。
そこにおずおずとリンゴが前に出てきて、
「先輩、こんな体に成っちゃったけど嫌いにならないですか。」
そう涙目で聞いて来た。
ぼくは親指を立てて笑顔で答えた。
ぼくの彼女はツイている。
問題ないね。
ボクのカノジョはツイている。 軽井 空気 @airiiolove
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