第13話

ミサキの知るカナタは、優しい人だった



「カナタは、優しい人。いつも優しく私や友達にも接していたわ、能力だって石ひとつ動かせない、テレパシーは送れたけど、他の能力は私よりも低い」



「なら何故軍人適性に受かった、軍人適性に受かると言うことは、それなりに能力があると言うことだ」



俯いて言うミサキに、レイズはファイルを差し出した。



「これは?」



「カナタ・レスの能力数値だ」



ミサキはファイルを開き、眼を見開いた



「カナタ・レスの能力は、人並外れてる。戦闘部隊の俺達に匹敵するくらい、いやそれ以上かも知れない」



「そんな・・・」



ファイルを持つ手が震える

ミサキの脳裏には、カナタの優しい笑顔が過る



「隊長、長官が一度戻れって」



ティッドが車両から顔を出して言ってくる



「夜に行動した方が良いかもね、気温が上がってきてるわ」



レナの言葉を聞きながら、レイズは東の地平線を見る



「一度戻る。」



レイズはミサキを促し車両に乗ると、車両は砂の上から消えた。



軍本部に戻ると、レイズ達はミーティングルームに向かった



ミーティングルームに入ると、長官が難しい顔をしてモニターを見ていた



『世界軍事委員会に加入すれば、シャングリラを地上に住めるようにする事も可能だ』



モニターには、世界軍事委員会があるラスベル国軍事委員会議長が映っていた』



レイズは黙って椅子に座る。

ミサキ達もレイズに習い座ると



『久しぶりレイズ・アモン』



《意味深な笑顔でフルネームで呼ぶな》



レイズがムスッとするが



「国王とは話したのですか?」



『ああ、先程軍事委員会に加盟する承諾を得た』



「なら、長官に加入の意図を聞くのは?」



『一応の説明だ、レイズ明日ラスベルに出頭しろ、これは命令だ』



モニターに映る世界軍事委員会議長は鋭い眼でレイズを見た



「了解」



『戦闘部隊も一緒に来るように、シャングリラの方には護衛部隊をやるから大丈夫だ』



「分かりました。」



レイズが返事をすると、通信は切れた



「長官、シャングリラって世界軍事委員会に加盟してなかったの?」



レナが言うと、長官は苦笑いして頷いた



「君がミサキ・アクリットか」



長官がミサキに視線を向ける



「はい」



「戦闘部隊に配属された以上、前戦で戦うことになるが出来るか」



「前戦・・・」



ミサキは、答えることが出来なかった



「ミサキ・アクリットは能力が高いのは長官も知ってるだろう、戦闘はおいおいだ、とりあえずレスカとオベレーターに入れる」



レイズが言うと、長官が頷いた。



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カナタヘ ちひろ @2288

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