第6話
気がつけばそこは、見たことの無い草原。
寝転がっていた。
起き上がり、辺りを見渡しす。美しい所だ。
川が流れている。その向こうに、少女がいた。
空を見上げている。
僕は知っている、あの少女を。
まだこちらに気づいていない。
僕はゆっくりと川を渡った。
向こう側に着いた途端、雨が降ってきた。
もう、痛くもなんともなかった。
苦しくもない、落ち着いた呼吸で、その名を呼ぶ。
「めい、やっと逢えたね。」
少女がゆっくりとこちらを振り返る。
すると、その少女は口から泡を吐いていた。
まるで水の中にいるかのように。
そして、ゆっくりと言ったり
「五月雨のように、長く、ダラダラと、その妄想を引きずり回して、悲しいよ……。」
少女は泣いていた。
僕の目の前で、雨粒よりも暗く光る涙を流している。
僕は少女を抱きしめようとしたが、霧のように跡形もなく消えてしまった。
――僕の顔には、明るく光る、それでいてすぐ壊れてしまう涙が、点々とついていた。
五月雨ガ、泣ク頃二 水無月 零夜。 @Ray_MRN
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます