第5話

まわりには誰もいなかったが、

声が聞こえるなら、すぐそばにいるんだろう。

「…めい……そこにいるんだね…」

「むーくん!とりあえず屋根のある所に」

「めい!…会いたかったよ!ずっと、あの時から!」

僕は目一杯、空に向かって叫んだ。

身体中に何故か走る激痛と、過呼吸で狂う息。

だんだんと意識が朦朧としてくる。

頭も正常に動かない。自分で制御ができない。

「早く!屋根のある所に行って!」

「めいの指示を無視して、僕はここにいる!昔の自分より、成長したんだ!自立したんだ!」

「ちょ……何言ってるの?」

「めい!ほら、見てよ!」

「むーくん!そのままだと―――!」

「……え?」

そこで意識がぷつりと途絶え、目の前が真っ暗になった。

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