巻末特別企画 まいど茂 × 堀川真一 『スペシャルインタビュー』

まいど茂(以下、茂)「何をかくそう、私がまいど茂です。2020年春から細々と執筆致しました『幼なじみ~不器用な男と器用な女~』から今回の『幼なじみ特別編第三弾・幼なじみ~不器用な男と器用な女~妄想編』まで、約1年半にわたりまして書かせていただきました。今回の特別編第三弾をもちまして、私の作品は大団円とさせていただきます。最後までご愛読いただきました皆様に厚く御礼申し上げます。


そこで、最後と言うこともありまして、巻末の特別企画としてご用意させていただきました。題しまして『まいど茂×堀川真一 スペシャルインタビュー』。『幼なじみシリーズ』の不器用な主人公・堀川真一くんと対談形式でざっくばらんに話そうという企画であります。


それでは、早速ご紹介致します。『幼なじみシリーズ』の不器用な主人公、堀川真一くんです」



真一「何をかくそう、私が堀川真一です」

茂「今日はよろしくお願い致します」

真一「こちらこそ、よろしくお願い致します」

茂「さて、加島優香さんとの思い出を中心にした『幼なじみシリーズ』、当事者としてどんな感想をお持ちですか?」

真一「どうって、いつも通りのことだったので、何も思ってませんが、今から考えたら、やはり高校時代は『トラウマ』が大きかったですね。大人になってから、それこそ、つい最近ですわ。23年前のことを夢の中で蒸し返され、優香ちゃんが『オレのことどう思っていたのか?』とか、考えさせられましたね…」

茂「実話を基に再構成した物語(フィクション)となっています。今は本当に後悔してないの?」

真一「そらぁ、高校卒業後の夏に『腹を割って話』した直後の当時は、後悔していた自分がいたのは事実ですが、いつまでも尾を引いていることはなかったですね。長野の夏美と付き合い始めた頃から無くなりましたね。あの子(夏美)の『幾度の告白と説得』のおかげで『トラウマ』はなくなりましたから…。去年から(優香の)夢は見てましたが、現在は全く後悔なんてしてないですよ。なぜなら、僕には今、みつきという妻がいますからね」

茂「本当に後悔してない?」

真一「そらぁ、100%後悔してないって言うたら、ウソに思われるかもしれませんが、いつまでも後悔してても、仕方がないですから。おかげで昔、優香ちゃんにしてあげられなかったことを今、妻のみつきにしてあげて、尽くしてますね」

茂「なるほど…。高校時代にターニングポイントとなった『トラウマ』ですが、どうして当時は全く前向きに考えられなかったのですか?」

真一「うーん…、あんまり言いたくないんですが…」

茂「今となっては、もう時効でしょ?」

真一「うーん…、『時効』と言われたらそれまでですけど…。そうですね…、中学3年の夏に叔父さんが亡くなって、その後、婆さんが僕に叔父さんの事で話し始めて、昔の話を聞いたんです。その時『あ、恋愛って、ロクなことがないんやなぁ。これやったら、一人で居た方が余程よっぽどいいわ』って言う、当時先入観みたいなものがあって、それから恋愛には全く興味をもたないようにしていたのです。そう考えてからは気分的にも気楽でした。それで高校に入学すると、よりによって、幼稚園の時の隣の席の女の子が居て、周りの友達から冷やかしなのか、マジなのかはさておき、チヤホヤ言われて、挙げ句の果てに優香ちゃん自身からも何かグイグイ誘ってきてるような感じだった。確かに自分の中では、『普通に優香ちゃんと恋がしたい』という気持ちと『トラウマ』が交錯していて、『トラウマ』の方に強い衝撃があったので、恋愛には全く前向きになれなかった。当時の僕は本当に辛かったです。当時は『トラウマ』を解くことは到底考えられませんでした。それだけ『叔父さんの死』は衝撃的やったんです。叔父さんが亡くなった翌年に、高校に入学していますので…」

茂「そうやったんや…。結局、優香さんは森岡くんと付き合うことになります。余計に辛かったのでは?」

真一「当時は、ある程度覚悟してましたよ。いずれはこんなことが起こる…と。それと同時に、自分を痛めつけて『傷つく心の耐性をつくる』ようなことができると思ったんです。そらぁ、初めはショックは受けますよ。でも、その裏返しで少しでもショックに耐えられる心を作ろうとしたんです。それに、村田さんたち女子4人に『恋愛に興味を持つべき』と言われても頑なに否定していました。しかし、村田さんたちの説得が物凄くて、困惑していました。優香ちゃんにも背中を押されたくらいですから…」

茂「村田さんにフラれて、『興味がない』と理由を聞いて、余計に『トラウマ』が強く感じたと思います。しかし高校卒業後、新潟の大学に進学した優香さんは、大阪の企業に就職した森岡くんと、遠距離恋愛1ヶ月で別れました。優香さんが大学に通うために、新潟で一人暮らししているときに、真一くんは新潟には行けませんでした。行きたかったですか?」

真一「それはわからないです。ただ当時、優香ちゃんが本当に一人ぼっちで困ってたから、盆前であっても新潟に行ってたと思います。でも優香ちゃんは『盆までガマンする』と言っていましたから…。今から思えば、優香ちゃんの意見を受け入れずに、盆前に無理してでも新潟に行っておけば良かったかもしれませんね…」

茂「話がコロッと変わりますが、このコロナ渦、どういう生活を送っていますか?」

真一「会社からも不要不急の外出自粛を指示されています。基本的に、妻のみつきと買い物に出かけるくらいで、『彼女』である旅には出たいですけど、勿論この状況ですから出ていません。コロナ前から鍼灸院へ月1~2回通っているので、それくらいじゃないでしょうか。それよりも、なぜか高校時代の夢をずっと見たことについては、何とも言えませんでしたが、不思議なことが起きた1年半でしたね」

茂「優香さんとは会ってないの?」

真一「優香ちゃんが結婚してからは一度も会ってもないし、連絡先もわからない状況です。といっても、僕の方からこれ以上詮索していません」

茂「そうなんや…。優香さんのこと以外でも、これまでの人生で色々と経験されました。これまでの人生、どうお考えですか?」

真一「うーん…、学生時代は『優香ちゃんに始まり、優香ちゃんで終わり』、20代では、学生時代に起きた事を踏まえて、色々と経験しました。それと同時に、旅が『彼女』になりました。競馬もたまに遊ぶ程度でしかやっていませんが、『儲ける』つもりで馬券(勝馬投票券)は買っていません。あくまでも『遊び』で。色んなことがあって、20代後半で優香ちゃんと再会して、喋りまくって、それが最後に会って、それから30代になって、妻のみつきと出会いました。みつきとは、初めは『話し相手』程度でしか思っていませんでしたが、自分の意見をハッキリ言う人で、『ネコを被る』ことはしない性格。たまに常識はずれな事をするのがたまに傷でも、それは『ご愛嬌』と自分に言い聞かせています。みつきは、僕の『不器用』については、優香ちゃんのように、許容してくれています。『しゃあない(仕方がない)なぁ』って(笑)。それにみつきとずっと一緒にいても、何の意識や抵抗もなく付き合って、少し遅かったですが結婚しました。『貧乏暇なし』は相変わらずですが、何とかみつきと楽しんで生活しています。全体を通して考えると、自分の原点はやはり優香ちゃんの存在が大きかったと思います。自分の『トラウマ』のせいで、優香ちゃんには『申し訳ないことをした』と、今でも思っています。しかし優香ちゃんは、僕が優香ちゃんの背中を押した通りに、ちゃんと大学で旦那さんを見つけてくれました。そして結婚して、幸せな家庭を築いてくれています。それは自分のことのように嬉しかったですね」

茂「真一くんが優香ちゃんを幸せにしようと考えなかったのはなぜですか?」

真一「ウチは貧乏で、仮に優香ちゃんが僕の奥さんになってくれたとしても、僕は幸せになっても、優香ちゃんには苦労をかけることしかない…と思いました。それに当時は『トラウマ』もあったので、余計に前向きに考えられませんでした。意見はあると思いますが、総合的に考えて優香ちゃんは、僕とは一緒にならない方が良い…と判断したのです。切ないですよね…」

茂「夢でも見た通りに『トラウマ』があっても、優香ちゃんとの交際と平行してできなかった?」

真一「当時の僕は『根性なし』だったので…。適材ではないと思いました。だから、嫌われても仕方がない…と思っていました。それも覚悟の上でした。とにかく全く前向きになれませんでした。特に浅田が自分のことのように心配してくれました。悪友として嬉しかったですね。『オレがどんなことしてでも、あんたを説得しといたらよかった』と言われました」

茂「本当に後悔してない?」

真一「今更、昔には戻れないでしょ? それに、今は“みつき”という妻がいて、みつきの実家も貧乏なので、貧乏同士ということもあってウマが合います。優香ちゃんは今も幸せになってくれていると思いますし、後悔はありません」

茂「そうなんや…」

真一「それより、このコロナ渦で見た夢の話、もうそろそろ飽きてるのが本音ですね(笑)。そろそろ安眠させて欲しいのが、今の願い事ですね(笑)」

茂「最近は優香ちゃんの夢は見てないの?」

真一「全く見なくなりました。この前、久々にドライブをした夢を見ただけです。それに優香ちゃんの夢を見なくなってから、今度は現実で、小学校時代の同級生によく再会しているんです。この前、茂さんに話しましたやん」

茂「執筆しときました(笑)」

真一「ちゃっかり書いてるんかい❗(笑)」

茂「そらぁ、話聞いたから書いておかないと…(笑)」

真一「どこまで書くんですか?(笑)」

茂「ありのまま。(話の)ネタがある限りやね(笑)」

真一「人の人生、何やと思ってるんですか?(笑)」

茂「世の中、いろんな人生ありますよ。中でも、真一くんのこれまでの人生は、良い意味でも悪い意味でも『不器用』そのものですやん。だからそこに、優香ちゃんは惹かれるものがあったのかもしれんし、今の奥さんも(惹かれることが)あるのかもしれんし…」

真一「まぁ、それは『本人のみぞ知る』ですよね…。ただ、夢の中で優香ちゃんが『優しくて、真っ直ぐで、どんだけ離れていても私のことを見てくれている、嘘がつけなくて、すぐ顔に出て、不器用で鈍感で…』って。『それが真一くんのいいところ』って言われましたね…」

茂「それで、これからの人生、どうしようと思っていますか?」

真一「今はコロナ禍ということもあって、自由に動ける状況ではないので、コロナ前のようになれば、みつきと『温泉にでも行きたい』って話しています。みつきも大阪とか東京とか、また都会へ出向きたい…と話していました。しかし、今のこの(コロナ禍の)状況では難しいですから、我慢の日々ですよね…。そして僕自身も、今回夢を見た事を踏まえて、また新たな人生を送りたいと思っています。特に高望みもしてませんし、普通に健康で、仕事して飯が食えたら…って思っています。それに、今の仕事で訪問先に小学校時代の同級生に出会います。男の同級生にはさっぱり出会わないんですが、なぜか女の子の同級生には、よく行くとこ行くとこで出会って、話してたら優香ちゃんと話してる感覚なんですよ。もう僕の同級生『こんなテンポで話す同級生ばかりなんか?』って最近は感じてます」

茂「そうなんや。よりによって女の子の同級生ばかり? どうなってんの?(笑) あと、他の高校時代の同級生とかとは連絡とりあったりしてるの?」

真一「男連中の一部とは、SNS(ソーシャルネットワークシステム)とかで連絡とりあったりしてます。あえて表舞台にたたずに、『あの人は今』的な感じでひっそりと生きていこうと思っています。だって表舞台にたってたら、僕の知らん所で見られるわけですから。昔、優香ちゃんに『結婚しても見てるから』って、監視されそうになりましたから…(笑)。それは僕的には良しとしないので…」

茂「昔の引退した某芸人さんのようにしたいと?」

真一「そうです。あんなふうになりたいんです。そして僕が『彼女』である旅に出ていくのが理想ですね。本来なら結婚なんて考えてもいませんでしたが、みつきと知り合ったから、結婚しようと思ったので…」

茂「それだけ旅よりも奥さんに惹かれていったってことですね?」

真一「そうですね…。みつきも旅は好きですからね」

茂「それなら尚更良いのでは?」

真一「えぇ。ところで茂さんはなぜ、僕の事を書こうと思ったんですか?」

茂「『なぜ?』って…、SNSで知り合った方からの助言やね。僕も一般人の会社員やからね。仕事の合間に執筆してました。それで、真一くんの事を書いたんです」

真一「そんな僕のことって惹かれるものがありますか? ただの『不器用』な話ですよ」

茂「なんとか言ったらいいのかわからんけど、その『不器用』に何か惹かれるものがあった…っていうやつなんと違うかな…。それは真一くんの原点で、幼稚園の時に優香さんと知り合ったわけでしょ? その優香さんは、真一くんと仲良かったからね…。だから、2人の話を書いてみたんや。国語力全くない会社員がやで(笑)」

真一「何か色々ありますなぁ…」

茂「そうやなぁ。オレもコロナ禍が落ち着いたら、大衆食堂みたいなところで昼飯食いに行きたいなぁ…って思ってる」

真一「なんで大衆食堂なんですか?」

茂「『孤独のグルメ』というドラマをテレビでやっていて、今のこのコロナ禍で『黙食』って、喋らずに静かに食べる行為のことなんやけど、『黙食』をコロナが落ち着いたら久々にやりたいなぁ…と、ドラマ見て思ったんや」

真一「ここ1年半程、外食してないですよね。食べに行きたいなぁ…。最近はあっても持ち帰りで、自宅で食べてますからね」

茂「そうやもんね…。そんな話してたら、腹が減ってきたので、そろそろ終わりたいと思います」

真一「あー、ホンマに腹が減ってきた(笑)」

茂「ということで、ご愛読いただきました皆様、約1年半にわたりまして『幼なじみシリーズ』におつきあいいただきまして、ありがとうございました」

真一「ありがとうございました」

茂「真一くんも、ありがとうございました」

真一「お世話してあげました(笑)」

茂「やかましいわ(笑) 。…最後に読者の方へメッセージがあればお願いします」

真一「えー皆様、僕の『不器用』な半生の話におつきあいいただきまして、誠にありがとうございました。まぁ、笑い者やと自分で思ってます。『こんな半生やったんや』と思っていただければ…と思います。でもこんな男でも結婚はできましたので…(笑)。『トラウマ』も今はありませんし、妻とまた仲良くできれば…と思います。茂さんところはわかりませんが…(笑)。またどこかでお会いできれば…、会うことないか(笑)。茂さん次第だと思いますので、また何かの参考や笑い話にしていただけたら…と思います。長い間お世話になりました。ありがとうございました。茂さんもありがとうございました。執筆お疲れ様でした」

茂「真一くん、ありがとうございました。それでは私からも…。初めは真一くんと優香さんが幼稚園で出会ったところから書き出しまして、真一くんが甲状腺ガンから復活した後に優香さんと再会したところまでを書いて、『終わった』と思ったら、感謝の意味を込めてメモしていたものを『アンコール』として『番外編』を書いたら、今度は真一くんから色々と話を伺って、なんやかんやと聞いた話を書いていました。結局本編だけに留まらず、『幼なじみシリーズ』として細々と執筆させていただきました。何分、仕事の合間に執筆していたので、不定期での更新となり、御愛読くださった皆様にご迷惑もおかけしたと思っています。申し訳ありませんでした。それでも、これに懲りずに最後まで読んでくださった皆様に感謝申し上げます。約1年半にわたり、おつきあいいただきまして、本当にありがとうございました。またどこかでお会いできれば…と思います。最後の最後まで、ありがとうございました」











(完)

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“幼なじみ特別編”第三弾 幼なじみ~不器用な男と器用な女~妄想編 まいど茂 @shinchan17

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