ファブ◯リーズ最強ってマ

第1話除霊はお手軽に

色々家庭でゴタゴタがあって私は独り暮らしを始めた。

私の病気が原因で家族が荒れてどうしようも無くなってしまったので泣く泣く。

だけれども面倒事は尽きないもので。

私は収集癖を持っており蔵書は千冊に迫る。

引っ越すにあたって四百冊手放したので…で、更にそれより多い冊数が残ったので恐らく千冊に迫るかと…

で、なんやかんや頼み込んで親に車を出してもらって本や収納用カラーボックスや衣装ケースを運んで貰った。

六畳のフローリングで収納は押し入れ半畳しかないので部屋は見るも無惨に散らかってゆきます。ゴミでもないもので。

病気が重症のままなので、生活のサポートに相談員さんやヘルパーさんがつくことになり、来客嫌いの私は毎回汚い部屋を見せねばならなかった。

だがそんなのは序の口だったのだ。

『ヤツ』が現れてからは。

『ヤツ』とは一般的にお化けや幽霊と呼ばれる物だ。何故現れたと分かったと言うと、金縛りにあう。部屋からラップ音がする。

そのラップ音が楽しげで腹が立つ。パキッとかドカッとか近所迷惑な位鳴り響いた。

実家の仏壇の手入れを主にしていたのが私だったからか、『ヤツ』は何処に行くにも高確率でついてくる。

中学に上がって自分の部屋を貰ってからが始まりか。

部屋は二階にあったのだが、大体二十二時頃になると窓を『ドンドン』とノックされる。

朝起きると部屋の入り口が開いている。

ゲリラ豪雨並みの梅雨の真夜中に狂った笑い声が響く等。もうお前呪われてるよ状態。

それが病気にもかかったアラフォーに押し寄せるんですよ。中学時代の生命力なんて有りません。

「って事で悩んでるんだけど何かお祓いのツテとかない？」

電話で友人に相談。

「あー何かネットにはファブ◯リーズ最強って書いてあるよ。お祓い出来るって」

「マジ？」

「マジかは試してみないと分からないね」

「リセッシ◯ュなら家に有るんだけど…」

ダメでした。ラップ音がしたらすかさず飛び起きてリセッシ◯ュをお見舞いしたのだが…静かになったと思ったらまたパキッとかドカッとかいいはじめる。

私は決心した。

「ファブ◯リーズ買ってこよう」

ドラッグストアで手に入れましたよ。最終兵器を。

それを枕元にセット!これで迎え撃つ!

それは唐突にやって来た。

金縛りである。

金縛りは科学的に証明されているそうなのだが、そんなのなってる自分には関係ない。怖いだけだ。

長年の金縛りで何とか腕だけは動かせる様に加減が出来る様になっていた私は、ついに枕元にセットしていたファブ◯リーズに手を掛けた。

ガチッ

ガチッ ガチッ

最近のって良くできてますよね。誤発防止にロックが掛かっているのです。

リセッ◯シュ にも掛かってるんだから学べよ馬鹿たれー

それでも私は苦心して片手でロックを外すと『ヤツ』が居るであろう辺りに全力でソレをぶちかました。

プシュプシュプシュプシュプシュ

『ヤツ』に撃ちまくった。

ほんの十秒程で金縛りは解けた。

それから起きて部屋中に「居るなら家賃払え～」と唱えながら噴射しまくりました。

本がふやけるのも気にしない勢いで。

すごいですね。ファブ◯リーズ。まじでその日から『ヤツ』のイタズラは無くなったのです。

友人よ。ネットの有志達も有り難う。

これでラップ音も金縛りも気にしないで眠れるよ。

嘘のような本当の話。

今回私は逃れられましたが、全員が全員祓える保証では有りませんのであしからず…