柚子の幸せ
砂月ちゃん
第1話柚子の幸せ
あたし柚子。
ほんとの名前は
柚子は凄く寒い日に、たくさんの兄弟と一緒に箱に入れて捨てられてたんだって。
まだ目が開かないくらいちっちゃかったから、柚子は覚えてないけど『お家の人が凄く頑張ってくれたんだよ。』って、小梅姉ちゃんが言ってた。
拾われた頃、ちっちゃい柚子を温めて一緒に籠で寝てくれたのが銀次兄ちゃん。
銀次兄ちゃんはとっても優しくて、もう一匹の栄太兄ちゃんと一緒に、柚子のお散歩にも心配してそっと着いて来てくれるの。
柚子、お家の人と一緒だから大丈夫なのに。
お散歩から帰ってくると、今日は皐月姉ちゃんが柚子のお部屋の近くに来てた。
皐月姉ちゃんはめったに来てくれないから、柚子嬉しくて勢いよく飛びついたら、皐月姉ちゃんに怒られた。
『ちょっといきなり何すんのよ!?
アタシが潰れたりしたら、どうするの?』
ごめんなさい……
ショボーン
『まったく!兄弟で一番小さかったのに、あんた最近デカくなったからって生意気なのよ。』
スパーン!
『イッターイ!』
『あんたも生意気でしょうが!!』
いつの間にか、皐月姉ちゃんに近づいてた、小梅姉ちゃんの前足が飛んで来て教育的指導が入った。
きっと銀次兄ちゃんか栄太兄ちゃんが、呼びに行ってくれたんだ。
皐月姉ちゃんは小梅姉ちゃんに怒られたから、むくれてどっかに行っちゃった。
小梅姉ちゃんは姉兄の中で、一番偉い。
ベシッ!
柚子にも前足が飛んで来たよ。
痛いよ小梅姉ちゃん。
『柚子!あんたも急に飛びついたらダメだって、前から言ってるでしょうが!
ってどうしてそこで尻尾を振ってるのよ!?』
だって、小梅姉ちゃんが来てくれたから、柚子嬉しくて♪
『嬉しい時は尻尾をピンと立てて、喉を…ゴロゴロ…こうやって鳴らすのよ。
ホラ!やってごらんなさい!』
ゴアッゴアッ
む…難しいよ小梅姉ちゃん。
キューン
小梅姉ちゃん達みたいに、なりたいけど柚子には難しいみたい。
『そんなに落ち込まなくても、そのうち上手になるわよ。』
柚子嬉しくて、慰めに近づいて来た小梅姉ちゃんを全力で抱きしめて、ペロペロ舐め回したらまた怒られた。
『だから、それを辞めなさいって言ってるでしょ!
ああもう!柚子のヨダレで全身ベトベトじゃないの!!』
ペロペロ
小梅姉ちゃん器用だね。
柚子じゃそんな所まで舐められないよ。
『いい?柚子、猫はなるべく匂いをさせないようにしないと、良い狩が出来ないのよ!』
わかった~!
元気よくお返事したら、また怒られた……
『うるさい!大声出すと獲物が逃げちゃうでしょ!!』
スパコーン!!
キューン
『それと、歩く時は爪を引っ込めて歩くのよ。
足音がすると、気づかれて逃げられちゃうからね。』
無理…姉ちゃんそれ無理。
どんなに力込めても、爪引っ込まない。
柚子のお手手大きいモン……
小梅姉ちゃんは艶々の黒毛で柚子とお揃いだから、柚子も大きくなったら姉ちゃんみたいな素敵な猫になれるといいな。
優しい銀次兄ちゃんは黒虎でかっこいいし、栄太兄ちゃんはキジトラで無口だけどスタイルが良くってイケメン。
時々暇な柚子を構いに来てくれる皐月姉ちゃんはキジ白で、『大きな緑色の目が可愛いって近所でも評判なのよ♪尻尾だってこんなに長いし♪』って自慢してた。
柚子は頑張って立派な猫になるから、みててね!
バゥワゥ!!
『だから、ムダ吠えするなって言ってるでしょうがぁ~!!』
猫パ~ンチ!!
こんな姉ちゃんと兄ちゃんに囲まれて、柚子はとっても幸せです♪
(おわり)
柚子の幸せ 砂月ちゃん @natuki0163
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