第2話 メインヒロイン

2話『メインヒロイン』




俺には、二次創作小説で唯一コメントを貰っているユーザーがいる。



当時、初めてのWEB小説を投稿していた頃に、応援のコメントを貰っていたユーザーだ。

学校での昼休み、何時ものように

WEB小説アプリでコメントの確認をしていると、1件のコメントが

届いていたことに気付いた。



いつもコメントをくれる結月さんからだ。



今日は、画像も一緒に添付されていた。


そこには、【⠀ブルファン】のクラウドとルミアが描かれていて嬉しくなった。


それと同時に鋭い衝撃が走り気付いた。


絵は桁違いに上達していて画風が変わっているが、これは、yuiさんの絵だと。


まさか、柚木がyuiさんなのか?!


と放課後、授業が終わるとはやる足を柚木宅へと急がせた。



***


マンションの208号室の前に来ると

インターホンを鳴らそうと指を構えるがあと、数センチのところで指が止まってしまう。



クソ!どうも決心が付かない。

と、やっぱり辞めようと帰ろうと思ったその、瞬間、唐突に、扉が開いた。

「痛い!」

突然開け放たれた扉に頭を強打してしまい、痛みに悶えていると柚木が姿を現す。

柚木は何時ものピンクのチェック柄のパジャマ着ていた。


清楚ながら幼さも感じられて可愛らしいものだった。


「おぅ、そのパジャマ、可愛いな。よそ


「そう、ありがと。」


「それより柚木、話したいことがあるんだ。訊いてくれるか?」


と、ここに来る最中、考えていたことを伝えようとする。


「待って。その前にわたしからも藤也くんに話さないといけないことがあるの。聞いてくれる?」と柚木は、不安そうな表情を浮かべて言う。


オレは、「ここは、先に言ったオレから聞いて欲しいんだが。」と先手を譲らない意向を示す。



柚木は少し、ムッとした表情をして「ここはわたしの部屋です。それにレディファーストとゆう言葉があると思うのですが?」


「いかがですか?」意として使われた丁寧な口調に威圧感を感じてオレは、「わかった。先に柚木からどうぞ。」


とオレは折れて先手をゆずることにした。





柚木は、話してくれた。引きこもりとにった理由を。


自分の高い絵の才能のせいで周囲の生徒から疎まれて孤立してしまったこと。


それが原因で自分の才能にコンプレックスを抱き引き籠もりになったこと。


引き籠もり続けるには、特待生としてイラストの仕事で一定の成果を上げて学校へのPRで貢献していかないといけないこと。



でも、2年からは、B組に落とされて、もう特別待遇は通用しないでもう後が無いこと。




「人気があって高いセンスを持っている。そんなわたしでも、藤也くんは嫉妬したり嫌いにならないでいてくれる?」



「それは、正直、柚木がそんな凄い奴と知って驚いたよ。自分にはない才能を持っていて嫉妬さえした。」



「やっぱり、藤也くんもそうなんだね。」

(この人もわたしのことは受け入れてくれないんだ......)


「聞いてくれ、柚木!」



「だけど、それ以上にその才能をスゴイと思ったんだ。」



「オレは、そんなお前からイラストを描いて貰ってるんだって皆に自慢したいね。」


「オレの相棒は、スゴイヤツなんだぞってな!」


「それと、ブルファンのイラストの

挿絵を書描いてくれてありがとうな。」


「素直に、嬉しかったよ。」


自分が創造したキャラ達に命を吹き込んでくれて、ラノベ作家にとってこんなに嬉しいことはない。



「それと、柚木がyuiさんだったんだな。」


「また、会えて嬉しいよ。」

「藤也くん......」



柚木が瞳に涙を浮かべて見つめてくる。


「よし、今度はオレの話を聞いて貰うぞ!」



「うん、いいよ。」



「なんでも言って」


「そ、それはだな...」



そんなに見つめられると緊張していざ、言おうとしていたことが恥ずかしくなり口籠もってしまう。



「あ、あのな...」



ダメだ言えない!もし断られでもしたらもう柚木に向ける顔が無くなる。



「わたしも勇気出して言ったんだよ。

ここで言わないのはフェアじゃないよ。」


「さあ、藤也くん頑張って。」



何でも受け入れてくれるだろう。

そんなう優しい眼差しを向けられて、オレは決意する。



「あのな、実は柚木をメインヒロインにしたラブコメ小説を書きたいんだけど、

オレの小説のメインヒロインになってくれないか!」


言ったこれで駄目ならオレは貝になりたい。


「ほんとに?!わたしなんかでいいの?」


「引き籠もりだよ!駄目人間なんだよ!」


「ああ、知ってる。柚木だからヒロインにしたいと思ったんだ。」


「ほんとにほんと?!」



「しつこいな!ほんとだよ。」


子供の頃からいつかは!と思っていたことを口にする。


今が、その時なんだと。






「そぅか、ほんとうなんだー。」


「嬉しいけど、なんだか照れる。」


柚木は頬を朱色に染めてウフフと口元を緩めて微笑む。



ヤバイ。スゲー可愛い!





「今、夢が決まったぞ柚木。オレの夢はお前をヒロインにしたラブコメ小説を書籍化させることだ!そして、アニメ化させる!」




「オレの?一人だけの夢にするなんてズルい!その夢は二人の二人の夢にしよう!」



「柚木、いいのか?」


これは、夢なのか!?嬉しいことって重なるものなんだな。




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お隣さんは引きこもりニート 高月夢叶 @takatuki

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