火竜が暴れる

 国王は早速竜のもとへと向かった。


 そこでは大慌てで作業をしている数人の雑用者の姿があった。


「こらっ! 落ち着けっ!」


「静かにしろ!」


 竜を飼育している格納庫があった。鋼鉄で出来た巨大な建物である。


 グウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!


 暴れているのはレッドドラゴンである。火竜であった。


「何があったのじゃ?」


「説明した通り、ドラゴンが暴れ出したんです。餌が悪かったんでしょうか」


 大臣は言う。


「餌? 餌なんて適当にやっておけばいいだろうに」


「そういうわけにもいきませんよ。竜は大きな身体をしていますが神経質な生き物なんです。それに、この通り巨大な上に危険な生き物ですから。なめてかかると痛い目を見ます。餌の調合にはかなり神経を使うんです。竜の調子や好みを考え、適切な餌を与えるのはかなりの難度なんです」


「なんじゃと! あのビーストテイマーの言っていたことは本当なのか?」


「左様でございます」


「く、くうっ! 何とかせい! とりあえずこの竜を黙らせろ!」


「はっ! 睡眠針で眠らせます!」


 大臣は巨大な睡眠針を数人がかりで挿入しようとする。だが、それを嫌がったレッドドラゴン、つまりは火竜がブレスを吐いた。炎のブレスだ。


 ボオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!


「なんじゃ! ぐわあああああああああああああああああ!」


「国王陛下!」


 ブレスが国王の服に引火する。


「あつい! あついのじゃぁ! 早く水で消すのじゃぁ!」


「は、はい! 水だ! 水を国王陛下に被せろ!」


 ザバァ! ザバァ!


 慌ててバケツで水をかけ、鎮火する。


「ぐふっ! 何という事だ! なぜこんな事に! だが認めんぞ! わしは認めん! アークを追放した事がわしのミスだったとは絶対にみとめんぞおおおおお!」


 国王は自らの非を認められずにただひたすらに意固地になっていた。

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コストカットで追放された宮廷ドラゴンテイマー~竜達が言う事を聞かなくなったから戻れと言われてももう遅い!世界で唯一のドラゴンマスターであることがわかり竜の国の王女様からめちゃくちゃ溺愛されているので つくも/九十九弐式 @gekigannga2

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