【企画入賞レビュー】世界一派手な恋文


文学賞の授賞式で偶然再会した男女の作家。以前に喧嘩別れした「親友」同士で男性には新しい交際相手がいるという。なかなかに気まずい状況ではあるが、二人はお互いを意識しながらも微妙な距離を保ち続ける。なぜならば、彼等は男女である以前に異なる文学賞にノミネートされた小説家同士でもあるからだ。

全体から漂う大人の雰囲気が非常に魅力的な作品。
キャラクターはブランド物のスーツを着こなし、交際相手や話しかけてくるファンまでもが一流揃いの実に華やかな舞台である。それでいて、この作品のテーマは「初恋」なのだ。実に素朴で派手なスポットライトとのミスマッチを感じさせてくれる。これは二人の間に流れた十年という月日がもたらした結実なのだ。

一流の人間がそれほどの歳月まで決着を先送りにすると、いったいどうなってしまうのか? それは是非とも皆さまの目で確かめて頂きたい。
真の一流は初恋をこじらせてもカッコいいのであった。