第8話 胎動

目が醒めると、いつものとおり平地だった。いつもと違うのは向かう方角。どこへ向かうのかは決まっていない。たが、向かわない方角は決まっている。あの滝のへ向かう西のほう。


何万回も時を戻した影響か、何度も通った道筋には、草原に線を引く一本の小道が続いていた。通っているときには気付かなかった。通らないと決めてはじめて気が付いた。


もしかしたら彼女が試しているのかな?なんて思考が過ぎる。ふっ、と微笑い踵を返す。


「どーせなら正反対に進むか」


と独りごちて、歩みを開始する。


きっと、体力もない。知識もない。もしかしたら魔物に襲われるかもしれない。道中で死んだらアヤカは助けてくれるのだろうか。わからないことだらけだ。普通であれば不安に苛まれる状況であるが、心は静謐だ。なんせ、何度も、何度も、天井人たる人物と繰り返した禅問答。彼女が創った世界であるならば、恐れる事はない。ひたむきに生きて、無駄になる世界である訳がないからだ。



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武藤 宗

Lv:1

HP:15/15

MP:2/2

体力:3

魔力:6

俊敏:7

修練:1

知力:210


職業:あそび人/テイマー

称号:意気地なし/勇者

加護:創造神


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これが自分のステータスらしい。高いのか低いのか分からない。職業は、あそび人•テイマーと書いてある。とりあえず口笛を吹いてみた。何も起こらなかった。



お気に入りは、加護の部分。

薄々気付いていたが、ヤツは創造神だった。

そして、その加護付き。

うれちい。



但し、この加護は元いた世界の遺産であると考えることとする。見限られないように焦って行動してしまっては本来の目的と異なる行動をしてしまうはずた。それは美しくない。

以前、魔王、というフレーズが出たが、差し迫った危機でない限り、こちらはこちらで万全の準備をするべきである。



どんな世界設定であれ、やることは変わらない。魔王?を倒すとなれば、きっと平和のための人生だ。優しく在らねばひずみが出る。

急いて走る必要がでない限りは、正しく生きてやる。この世界でも!!

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