図書館で働く人気司書、東雲梛。
近寄ってくる男性に惚れっぽく、妄想が大好きな乙女なのだが……。
最初は気が多い主人公だなぁという印象でしたが、梛の優しさや彼女を受け止める周りの人たちの愛情がとても温かく……どんどん読み進めてしまい、結局一気読みしてしまいました。
ちゃらちゃらした印象だった常田くんも、本当はとても純心な青年で梛を大切に思う気持ちに偽りがなく本当に素敵キャラです。
常田くんが抱える病気を理解しつつ彼によりそう梛の姿はとても献身的で……こんな風に誰かを支えて生きていくと決心した主人公を尊敬いたします。
まだ連載途中ですが、この先、梛が常田くんの元に行って幸せになれるのか、最後まで見守りたいと思います。
執筆がんばってください。^-^
図書館で司書として働く、東雲梛35歳。
子供に絵本の読み聞かせをしたり、図書館の利用者に本を紹介する傍ら、たまに恋愛絡みの妄想をしながら日々を過ごしていました。
35年間モテたことのない梛ですけど、同僚で年下の、チャラい感じの常田くんや、図書館の利用者である小学校の先生の仙台さんなど。今まで意識していなかった相手や、密かに良いなと思っていた男性と急接近して、彼女の周りは慌ただしくなっていく。
人はいくつになっても恋をするもの。大人でも、胸がキュンキュンするような恋をしてもいいですよね。
突然訪れたモテ期に戸惑いながらも、恋に胸をときめかせる梛が、非常に可愛いです。
……さて、そんな胸をときめかすような恋をする梛ですが、実はそんな彼女には秘密がありました。
ここから先は非常に重要なネタバレが書かれていますので、知りたくない人は読まないことをおすすめします。
梛の抱えている秘密。それは実は彼女は化粧をしていて女物の服を着て、好きなのは男性だけど、体は男だということ!
複雑な悩みを持った梛ですけど、読んでいるとそんな彼女の恋を、応援したくなるのですよね。
たくさんの人に、読んでもらいたい作品です。
図書館司書として働く東雲梛は、男として生をうけたが、今は女性として生きている。
恋愛対象となるのは男性。素敵な恋や出会いを望んでいるのだけれど、残念ながら現在縁には恵まれず。
そんな彼女の趣味は妄想。図書館で見かける男性が、自分のことを好きだったら、恋人だったら。そんな設定で、素敵なシチュエーションを頭の中で展開させます。
どんな出来事だって、想像、妄想するのは個人の自由。脳内で、思いきり恋を楽しみましょう。
……というのが序盤の展開。しかしそんな梛にも、妄想でなく現実で、素敵な恋が訪れます。
お相手は、同じく図書館司書でチャラ男の常田くん。これを聞いて、チャラい男なんて嫌だと思った方がいましたら、それは実にもったいない。一見チャラく思えても、むしろそんな印象から始まったからこそ、話が進むごとに彼に対する好感度が上がる上がる。
妄想から飛び出した恋。一緒に見守っていきましょう。
*短編集ではないが、一話ごとに区切りのある作品
★どんなことをテーマにした作品なのか?
主人公の妄想をテーマにした作品
【妄想とは?】
妄想の意味
とらわれの心によって、真実でないものを真実であると、誤って意識すること。 また、そのような迷った考え。 邪念。(web調べ)
恐らく、この物語での妄想は空想にふけるという意味合いだと思われる。
空想とは?
現実にはあり得ない事、現実とは何ら関係のない事を、頭の中だけであれこれと思いめぐらすこと。
【どんな物語なのか?】
図書館司書として市の図書館に10年務める、トランス女性が主人公。本が好きで、新刊をいち早く手に取りたい彼女にとって、図書館で仕事するのは夢だったようである。トランスジェンダーである彼女は、身体は男ではあるが見た目や心は女性。そして恋愛対象は男性。周りの友人は結婚や子育てをしているようだが、主人公は35になるが恋人はいない。しかし職場の環境は良いらしく、多様性が理解されているようだ。
そんな彼女は図書館に来る人々に”もし、自分の恋人だったなら”と妄想を抱く。この物語は、そんな彼女の日常の物語である。
【好きな所や印象に残ったところなど】
・主人公の妄想は、まず相手がどんな人物なのか推理するところから始まっていく。何故図書館にやって来るのか? など。なので、どんな人物なのか分かりやすい。(想像しやすい)
・初めの頃はモノローグで主人公がどんな妄想をし何を考えているのか分かるところから入っていくが、段々と他の人との交流からも人となりが分かっていく。
・正論な毒舌が効いている。接客業などでもあるが、顔はニコニコ心で毒舌というのはよくある。この物語の主人公にもそういう面での人間らしさというものを感じた。
・利用者の借りた本から、人生を垣間見ることができる。
・主人公がとても乙女である。
・進展はゆっくりだが、心と体の不一致による乗り越えなければならない部分に関しても描かれている。
*21話 完結
【全体の見どころ】
主人公は妄想はするものの、現実の恋に踏み出すことはなかなかできない。それは心と体の不一致の部分に対して、乗り越えなければならないものがあるからだと感じた。心が異性であっても、身体が同性となる場合は、どんなに互いに惹かれ合ったとしても、簡単には進めないものだ。同性愛者と、自認の性別が身体と違う人の恋愛観はそもそも違うものだと思う。
同性愛者というのはあくまでも同性に対して恋愛感情を抱く前提なので、自分を同性として認識し恋愛に発展していくもの。なので、出会いが少ないとしても初めから相手から見て、同性であるという部分においてはハードルは低い。しかし自認と体の性別が不一致の場合は、トランス女性ならば女性として愛されたいという前提がある。もし普段から女性に見られているとしたならば、異性愛者と恋愛関係に発展する可能性はあるのだ。互いに無性愛者(性愛を持たない)ならば精神恋愛を続けられるかもしれないが、この物語の主人公のように性愛を持つ場合は、カミングアウトしなければならない局面はやって来る。この物語ではそういう複雑な部分や問題なども描かれており、性の不一致でどんな悩みを抱えるのか、考えさせられる。
あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか?
そのままの自分を受け入れられることが、どれだけ愛されていることなのか改めて考えさせられる物語です。おススメです。
備考*16話まで拝読
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企画にて5000まで拝読にての感想
【読む前予想】
これも、答えが書いてあるので。主人公と彼の日常である。彼とのことを妄想してしまう主人公の日常かな?
【感動したところ】
主人公は、図書館に良く来る人々で、いろんな妄想をする。こういう妄想は自分はしないものなので、とても興味深いなと感じた。それと同時に、名前はなくても特徴を掴み、主人公視点で一人一人個性を持たせているところも素敵だなと感じた。予想に反して、彼との日常ではなく、常連さんたちの妄想なところが面白いなと思う。
【自分が主人公の立場だったら】
一人作業で妄想をして過ごすというのはとても楽しそうである。自分も何かアクションなどは起こさずに、主人公のように妄想だけで、一喜一憂しそうだなと思った。相手が借りた本からも、いろんな事を妄想する主人公は想像力豊かだなと感じた。
【物語のその先を妄想】
5000文字までの読了なので、まだ相手の彼は出てきていないが図書館で出逢い、恋愛に発展するのではないだろうかと、思う。彼に対して一体どのように妄想し、現実と妄想の違いなどが明らかになっていくのかなど、分かってくるのではないだろうかと、想像する。プロローグで、恋人がいないことや話の中で性への妄想などもしているので、この先には今までとは違った日常が繰り広げられるのではないだろうか。