第12話

壊れたドアから勢いよく現れたフィリップは、レオニードから由紀乃を奪い返す


「ユキノ、怖かっただろう?もう大丈夫だよ」


フィリップがそう言い微笑みかけた


「フィリップさん!麗央を助けて!!!!!」


その言葉にフィリップはピシッと動きを止めた


後から入ってきた3人もポカンとした表情を浮かべる


「レオ…?ユキノ、今アイツのことそう呼んだ…?」


「え?はい、そう呼びましたけど…」


フィリップのこめかみに血管が浮き上がる


笑みを浮かべてはいるが背景にはドス黒いオーラが出ているようだった


「…男の嫉妬は醜いでフィリップ。ゆき、俺のこ事は気にしないで逃げるんや」


「ユキ…だ…とぉ…!貴様ァァァ!!!!!」


あまりの怒りにキャラが崩壊しているフィリップを他所に由紀乃はキース達にもレオニードを助けるように訴えた


「お願い、麗央はもう人を無闇に殺す気は無いの…!それに私を守ってくれてたんです…!」


「でもよ、アイツはてめぇを攫っていったんだぞ!信用出来ねぇ!!!!!」


「キースの言う通りだよ〜。簡単にはアイツを受け入れられないよ、ユキノ」


キースとセルヒオは渋ったが、ファルコはこう答えた


「…状況を見た感じ、レオニードはユキノをあの2人から守っていたように見える。だから、私は信じよう」


ファルコの言葉に由紀乃は感極まり、彼に抱きついた


「ありがとうございます、ファルコさん!」


「む、無闇に異性に抱きつくんじゃない!」


顔を真っ赤にしながら由紀乃からそっと離れる


「ちょっと、なんでアンタらがここに来る訳?汚らしい裏切り者」


アンジェが不快そうに彼らを見る


「…あらあら、ファルコ。久しぶりじゃない?」


シルフィは何故か頬を赤く染め、ファルコに話しかけた


「……シルフィ」


ファルコは顔を引き攣らせる


2人には何かあったのかもしれないと由紀乃は何となく察した


「げっ…、オカマ野郎じゃねぇか」


キースも嫌そうにそう言う


「オカマとか言わないでよね!!!!!まったく!!!!!」


シルフィはキースに向かってそう叫んだ


さっきまで怒り狂っていたフィリップだったが、アンジェの姿にスっと冷たい表情になった


「うわぁ、気持ち悪い女がいるじゃないか」


「それはこっちのセリフよ、このキザ男!!!!!」


どうやらみんな反りが合わないようだった


険悪なムードに由紀乃はどうしていいのか分からずオドオドと戸惑う


その雰囲気を変えるかのように部屋中に黒い炎が現れる


「っ!レオニード!」


「おい、キース達!御託はええからここは俺と組んでくれや!!!!!」


「チッ、しょうがねぇな!」


キースは大鎌を出し、レオニードが出した炎を纏わせシルフィに切りかかる


フィリップはよそ見をしていたアンジェに魔法をかけ気絶させた


キースの攻撃を受けきれなかったシルフィは怪我を負い、反撃しようとするもダメージの反動で動けずにいた


「今のうちにここから抜け出そう!」


ファルコの言葉にみんな頷き、その場から逃げ出した


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異世界に飛ばされたら逆ハーレムになりました 結月夜紫 @yoshi_91247619

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