【声劇台本】ロスト・テロル(1:1)

アダツ

ロスト・テロル

★当台本を使用の際は、作者プロフィール欄にある【台本利用規約】を必ず一読いただき、規約に従ってご使用ください。


注意書き

・《》内は場面説明です。文章は読まず、BGM・SE等の指標としてください。

・同様に、()内も演技の指標としてください。

・人物名+Nはナレーションです。


人物紹介

・スバル︰男性、22歳。無愛想でぶっきらぼうな性格。

・ルカ︰女性、18歳。明るく気さくな性格。


-----【コピペ用】-----

ロスト・テロル

作者:アダツ


スバル♂:

ルカ♀:

-------------------------






ここから本編↓

____________________________


《飛行機の座席に並んで座る二人》

《当機は、まもなく着陸態勢に入ります――という機内アナウンスの後》


ルカ:ねえ、みえてきたよ! 東京!


スバル:静かにしろ。


ルカ:あれ羽田だよね。ひろぉ……。


スバル:ちゃんとベルトしとけ。


ルカ:んー、ふふー……ぱしゃっ!《ルカが隣のスバルを抱き寄せて、写真を撮る》


スバル:あっ!


ルカ:えへー。記念撮影。カップルみたいだね。


スバル:……ったく。


ルカ:……もうすぐだね。


スバル:ああ……。


(間)


ルカN:私たちはテロリスト。爆弾を運んでいる。


スバルN:爆発させるのは、ここ、東京の中心だ。


* * *


《羽田空港第一ターミナル・1F到着ロビー》


ルカ:ん~着いたっ、羽田空港!


スバル:っしょ、と。《アタッシュケースを椅子に降ろす》


ルカ:そのアタッシュケースがそうなんだよね?


スバル:ああ。こんなとこじゃ大きな声で言えねえがな。


ルカ:ひええ。どうやって検査のトコを通れたか意味わかんないよ……。


スバル:ま、それなりのブツってことだ。さて、三日は時間を貰ってる。どうしようか。


ルカ:私、東京観光したーい!


スバル:さっきからそればっかじゃねえか。どっか具体的にねえのか。


ルカ:んじゃスカイツリー!


スバル:はいよ。まずはモノレールか。……おい?


ルカ:東京ばな奈……食べたい!


スバル:おいそっちは土産……ったく!


* * *


《スカイツリーふもと・東京ソラマチ》


ルカ:スカイツリー、でっか……!


スバル:おー。ニュースじゃよく見るが、実際に目の当たりにするとまた違うな。このスケール感はなかなか。


ルカ:じゃー次いこ!


スバル:おい、登らなくていいのかよ。


ルカ:うん。高いところ苦手だし。ここから近いところだと浅草寺かなー。


スバル:…………んだよ。


* * *


《浅草・浅草寺》


スバル:さあ着いたぞ、浅草寺。


ルカ:……人混み、スゴイ、キライ。


スバル:まあ都内だとこんなもんだろうよ。それも観光地。


ルカ:次いこ、次。


スバル:はぁ……(ため息)


* * *


《渋谷・スクランブル交差点》


スバル:スクランブル交差点……おぉ、テレビでよく見る奴だな。


ルカ:疲れた……。


スバル:お前、何がしたいんだ。


ルカ:だって……。だって、来てみたかったんだもん。テレビの中の風景に……。


スバル:そうかよ。満足したか?


ルカ:休みたい……。


スバル:そうするか。カフェでもいこう。


《渋谷・カフェ店内》


スバル:ちょっとは落ち着いたか?


ルカ:ん……。あ、なにこれ……。


スバル:いちごは苦手だったか? もうすぐクリスマスだからか、スペシャルメニューだそうだ。上に載ってるのはレアチーズ。俺の抹茶のやつと交換してもいいけど。


ルカ:ううん。こっちがいい。……へへ、かわいい。ぱしゃっ。《ルカは携帯のカメラで写真を撮る》


スバル:気に入ってくれて何よりだ。


ルカ:結構可愛いのを頼むんだね。


スバル:気分によるさ。お前も、仏頂面の俺には似合わねえと思うか。


ルカ:ううん、正直どっちでもいいと思う。


スバル:どっちでもいいって……お前が意外そうにしたんじゃねえか。


ルカ:どうでもいい、かな。似合うとかどうとか、本質を捉えてないもん。好みの問題なんだし。


スバル:へえ……そういうことも考えるんだな。見かけによらず。


ルカ:あ、馬鹿にしたでしょ。


スバル:今のところは、うろちょろ動き回って勝手にへばるお馬鹿さんとしか。


ルカ:むー。


(間)


ルカ:スバルさんは、どうしてこの仕事を?


スバル:……成り行きだよ。


ルカ:それ、ずるい。そんなこと言ったらこの世の全部が成り行きだし。


スバル:んなことねえ。世の中、自分でしっかり意思をもって、やりたいことやって、真っ直ぐ進んでる人もいるだろうに。まあ正直、そんなに見たことはねえが。


ルカ:じゃあ、望んでないことなんだね?


スバル:世の中金が物を言うってな。不思議な言葉だ、あいつら喋るらしい。俺もお金さまと友達になりたかったぜ。


ルカ:……ええっと……?


スバル:聞き流せ。時間潰しだ。


ルカ:別に、時間なんて潰さなくていいんじゃないの?


スバル:何事にも準備ってものが必要だろう。


ルカ:準備してるようには見えないけど。


スバル:あー言えばこう言う奴だな、お前は。


ルカ:もう。……でも上の人たちも、指示適当すぎだよね。爆破させる場所は東京ならどこでもいいって言うし、期限も三日あるし……。依頼主は何をさせたいんだろ?


スバル:会ってもない奴のこと考えたって無駄だと思うぜ。


ルカ:ねえ、どうやって爆発させるか、聞いてもいい? 私なんにも聞いてないんだけど。なのにすぐそこに爆発物があるってのは、ちょっと怖いっていうか……。


スバル:ああ……。まあ、少し調合が必要な感じだからな。衝撃で誤爆とかはないからそこは安心しろ。


ルカ:へえ。だから荷物チェックも通ったのね。


スバル:だからってことはない。飛行場の荷物検査もなかなか厳しいんだぞ。


ルカ:……手続きとか手慣れてたけど、よく旅行とかしてたの?


スバル:そんな金ねえよ……ま、前職絡みだ。


ルカ:ふうん……。


(間)


ルカ:私、スバルさんのこともっと知りたいかも。


スバル:……そういうのは、惚れた男に言うんだな。


ルカ:もしかして照れてる?


スバル:物好きだなと呆れてるところだ。


ルカ:いいじゃん、不思議な縁だけど、こうして巡り合えたんだから。


スバル:物騒な縁だけどな。


ルカ:私はスバルさん、結構良い人だと思うけどなあ。


(間)


ルカ:また照れちゃった?


スバル:いや…………、お前なあ、爆弾持ち込んでるんだぞ。これから大量の人が死ぬんだぞ。そうさせるのは俺だ。どこが良い人だって?


ルカ:違うよ。


スバル:あ?


ルカ:もしかして、スバルさんは隠してるつもりかもだけど。私、ちゃんと聞いてるから。


スバル:お前…………。


ルカ:爆弾を爆発させる役割は、私。スバルさんはそれをちゃんと見届ける役。私は――爆発に巻き込まれて死ぬんでしょ?


スバル:…………。


ルカ:だから、それまでの間、私にやりたいことやらせてあげようとしてるんだよね。


スバル:……見殺すような奴を、良い人とは言わねえ。


ルカ:じゃあ、せいぜい私の言うことを聞いてもらおうかな。次に行きたいところはねえ――スバルさんの実家!


スバル:はあ? 何でそんなとこ……。


ルカ:ん。待って、当てるから……ヒントちょうだい!


スバル:はあ……。


ルカ:そこは内陸? それとも海沿い?


スバル:熱海だよ。


ルカ:……む。なんで答えいっちゃうのー!


スバル:新幹線じゃなくてもいいか。在来でいこう。


ルカ:なーんて、実は最初から知ってましたー! 依頼人から聞いてたの。じゃないと、これで実家が福岡なんて言われたら、せっかく東京まで来たのに逆戻りだもんね――ていうか行っていいの!? やったぁ! やりましたよ!(ガッツポーズ)


スバル:(呟く)どうしたら……。


ルカ:ん、なに?


スバル:なんでもねえ。いくぞ。


* * *


《熱海市・熱海駅》


ルカ:……寒っ!


スバル:そんなモコモコ着てんのにか。


ルカ:えへ、かわいいでしょぉ。


スバル:羊みてえ。


ルカ:メエ~。


スバル:熱海駅まできたが……なんか飯でも食うか。


ルカ:むー。ていうか家には行かないの?


スバル:もうない。ここは故郷だってだけだ。


ルカ:そうなんだ……。いつ頃まで住んでたの?


スバル:いつ……だろうな……。10歳に上がるくらいか。


ルカ:へえ。両親は?


スバル:もう他界してる。ちょうどここを離れるくらいだったな。お前は?


ルカ:そうなんだ……。ん、私のこと聞いた?


スバル:嫌だったか。


ルカ:え、あ、私の身の上話を気にするんだなあって……。


スバル:ただの世間話だろうが。言いたくなかったら言わなくていい。


ルカ:べつに……。へへーん、スバルさんも私のことが気になるのかあ。


スバル:うるさい。


ルカ:私の名前言ってみ? ほらほらぁ。


スバル:行くぞ。


ルカ:ああん、もう。……お寿司食べたい!


スバル:あー……ここから店が見えるが……。


ルカ:あちゃあ、並んでるねえ。スバルさんのオススメは?


スバル:なんでも美味しいぞ熱海は。そこらへんのラーメンでいいんじゃねーの。


ルカ:テキトー! スバルさん行きつけのお店いきたーい!


スバル:しつけぇな。行きつけなんてそんなの…………。


ルカ:……ん、思い当たる節ありって感じ?


スバル:いや、行きつけっていうか、その……あんまし、そういうんじゃねえんだけど。


ルカ:よっし行こうー!


スバル:いや! 急に行っても迷惑だし、やっぱやめとくわ。


ルカ︰急に行って迷惑かかるラーメン屋って……。(笑って)茶化すつもりはないんだよー? スバルさんのこと、教えてほしいだけなんだ。


スバル︰でも……恥ずいっつーか、顔出しにくいっつーか。


ルカ:もーじれったいな! ……少なくとも、行くのが嫌なわけじゃないんだよね。さ、つれてって!


スバル︰ったく……。


* * *


《熱海市 親水公園近く・ラーメン八重亭跡地》


ルカ:……なくなっちゃってるね。


スバル:ああ…………。


ルカ:ま、まあ! ……そう気を落とさないで、ねっ。どこかに移ってるだけかもよ! いやーまさか見事なフラグ回収になるとは――


スバル:そうか……。


ルカ:え?


スバル:いや、なんでもない。その辺のコンビニで適当に買って、親水しんすい公園で食おうぜ。


ルカ:う、うん……最高にテキトー!


* * *


《熱海市・親水公園》


スバル:――たいして美味くもなかったんだが、よく母さんのところから抜け出して、ここのラーメンを食ってた。特に会話もない。金払わずに飯食えるし、それだけでよかった。「お前が死ぬまでこの店やってやる」ここの店主のおっちゃんはよくそう言ってた。先にくたばるのはテメーのほうなのによ……。


ルカ:……ふうん。


スバル:おにぎり、いるか?


ルカ:いらない。てか寒いんだけど!? この季節に外で食べようなんて馬鹿の極みか!


スバル:なら付いてくるなよ。あーあ、ラーメン食いたかったー!


ルカ:もう……急にどうしちゃったのよ。久々の故郷で懐かしくなっちゃった?


スバル:まあ……そんなとこだ。……散々取り繕っても、どこかで幼い俺がチラつきやがって……うざったくて、ぶん殴りたくなって、んで結局取り繕ったもんもいらなくなって……。


ルカ:なにー、子供になっちゃったの? おーよちよち。


スバル:コイツ……このまま熱海の海に投げ込んでやろうか。


ルカ:あはは冗談です……よ……、ちょ、ちょっとスバルさんきゃあっ!?


《スバル、ルカを抱きかかえ、肩に担ぐ》


ルカ:ちょっと、スバルさーん!? 雑っ、抱え方! まさかほんとに海にっ!?


スバル:投げ込まねえよ。もうここに用はねえだろ、いくぞ。


ルカ:もうー! 乙女の抱え方! 次はちゃんとお姫様抱っこしてよねー!


* * *


《熱海市・熱海駅近く》


スバル:次はお前の番じゃねえの。


ルカ:え? 何が??? 私がスバルさんをお姫様抱っこするの?


スバル:しらばっくれやがって……。お前は実家、行かなくていいのかよ。


ルカ:ふふーん、私はいまさら戻る必要なんてありませーん。


スバル:なんでだよ。俺よりお前のほうが……。


ルカ:最期だから、って? いいんだー別に。私がいまこうやって、テロを行う人間として、そしてテロに巻き込まれて死ぬ人間としている時点で、どんな家庭環境だったかは想像つくでしょ?


スバル:想像? つかないな。……どうしたら、そんな明るくいられるのか。


ルカ:残りの人生、謳歌おうかしなきゃね。と言ってもあと三日も無いけど。


スバル:未練はないのか。


ルカ:良いひとすぎだよ、スバルさん。それともあれかな、罪悪感? 未練を果たすことすらさせずに殺してしまうのは、目覚めが悪いとか……なーんてね。


スバル:……俺は、ズルい奴さ。


ルカ:ううん。あのね、私スバルさんと会えて良かったと思ってるよ。いままでこんなに、対等に扱おうとしてくれる人、いなかったもん。悔しいことはたくさんあったけど、未練ってものは……ううん、ないかなあ。


スバル:…………そうか。


ルカ:……昔の話になっちゃうけどね。こんな私にも一応彼氏はいたんだ。大事にされてるかはわかんないし、本名も住所もしらないの。だけどなんとなく一緒に居て、まあ、ほどよく遊んでね。で、最後に捨てられちゃった。それで分かったんだぁ……私って、道具なんだって。


スバル:……帰ろう。


ルカ:……え?


スバル:きみは――ふるさとへ帰るべきだ。《懐で何らかのスイッチを押す》


ルカ:どういう……ぅぐっ!?《体が麻痺して、その場に崩れ落ちる》


スバル:安心しろ。手足の自由は効かねえが、少しは喋れるはずだ。


ルカ:な……ん、なの、これ。


スバル:身体中を麻痺させる、これが第一段階。もうどこへも逃げられないようにするための安全装置かつ、体内の起爆準備だ。


ルカ:逃げる……? わたしは、逃げない、よ……?


スバル:第二段階は、このアタッシュケースに保存されている薬剤を本人に投与することでクリアする。体内で調合されたそれは、約2時間後、爆炎と衝撃波で半径1kmを巻き込む爆弾となる。――このケースは、検査を突破するためのカモフラージュでしかない。爆弾となるのは、お前自身なんだ。


ルカ:私が…………爆弾…………?


スバル:俺は監視と、起爆操作を任されていた。……騙して、すまねえ。


ルカN:――私は、そこで意識を失った。


* * *


《北海道・夕張市 少し山に入ったとある場所》


スバル:……目が覚めたか。


ルカ:ん…………ここ、は?


スバル:スイッチは切ったし、さすがに多少は話せるようになってきたか。でも寒いだろ、もっと着込んでおくか。


ルカ:なに、お姫様抱っこしてくれてるの?


スバル:ご希望だったからな。着いたぞ。


ルカ:ここって…………うそ、私の、実家じゃん……。北海道まで来ちゃったの?


スバル:そうだ。お前のお父さんとお母さんも、まだここに住んでいる。……立てるか。


ルカ:ん、なんとか……。まさか、ノーヒントで私の実家を当てちゃうなんてね。


スバル:そうでもねえよ。


ルカ:……スバルさんって、何者なの? 私は、今度は何に巻き込まれたの?


スバル:眠る直前、俺が言ったことは覚えているか。


ルカ:……私は、人間兵器ってわけ。


スバル:ああ。俺らの組織に入って改造されたわけだ。そのぶん成功すると、多額の報酬が振り込まれる。……本人は死ぬのに、一体どこへ? 俺は気になって調べた。


ルカ:……勝手に乙女の秘密を覗いちゃうなんて、えっちな人ね。


スバル:この家に振り込まれることになっていた。どうしてだ? お前を捨てた人たちを、どうして……。


ルカ:よく知ってるね……捨てられたなんて、そこまで話したっけ?


スバル:――知っているよ。お前の、3年前のことなら。ルー。


(間)


ルカ:その……呼び方。もしかして、スーちゃん?


(間)


ルカ:うそ……ほんとに、ほんとにスーちゃんなの?


スバル:黙っていて悪かった……いや、ルーには謝っても償いきれない。それだけのことをした……。


ルカ:そんなっ! いまさら……いまさらっ、そのままでいてよ……放っておいてよ……適当してたくせに、捨てたくせに……いまさら目の前に、楽しかったあの頃を持って来ないでよっ!!


スバル:後悔ばかりの人生だった。


ルカ:う……うぅっ!《スバルへ抱きつく》


スバル:いいのか。


ルカ:許せない! 怒ってる! でももういいの……。私はもうすぐ死ぬ運命なんでしょ?


スバル:逃げても、組織の奴らに始末されるだけだ。……なあ、どうしてこの家に金を入れようとするんだ?


ルカ:……どうせ私が死んだところで、のうのうと暮らすだけなんだろうなって。だったら、私が人を殺して、殺して得たお金で、その血で染まったお金で暮らさせてやるんだって。……馬鹿みたいな考えだよね。


スバル:ああ、馬鹿みたいだ。放っておけばいいのに。


ルカ:ねえ、私の人生って何だったの? 両親に捨てられて、盗みを働きながら一人で生きて……あなたと出会って、不思議な居心地で、でもあなたはいつの間にか居なくなって……至る所を巡り巡って、どこでも人間以下、道具みたいな扱いを受けて…………捨てられてばかりの人生だったよ。


スバル:だから、お前だけは自分の人生を捨てちゃいけないんだ、ルー。


ルカ:いいよもう……なんもかんも、吹き飛んじゃえばいいんだ。東京に戻して……。


スバル:俺はね、お前を人殺しにしたくないんだよ。


ルカ:え……?


《スバルは、再び懐のスイッチを押す》


ルカ:がッ……! スー、ちゃん……。《麻痺する》


スバル:うんと山奥へ行こう。一切、人がいないところへ。


ルカ:殺させて……みんな、みんな憎いの……ねえ……。


スバル:最期の最後で、お前にだけは手を汚してほしくない。今さらだよ。散々お前に酷いことしておいてさ、これで救ってあげる気になって、本当クソ野郎だよ、俺は。……でも、どうしてもお前には、人殺しとして死んでほしくないんだ。


ルカ:関係、ないよ……もう、なにもかも終わりなんだから……好きなようにさせてよ……!


スバル:最後まで行き違いだったな、俺たち。でもせめて……。


ルカ:いや……殺させて……。スーちゃんっ……ひとを……ひとを殺させてぇっ……!


スバル:これからはずっと一緒だ、ルー。愛してる。





* * *






スバルN:その日の夜。北海道中央部の山奥で、大規模な爆発があったというニュースが流れた。


ルカN:一部で土砂崩れが発生するも、交通に支障なし。爆発の原因については現在調査中とのこと。


スバルN:死傷者ゼロ。それが俺たちの、テロルだった。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

【声劇台本】ロスト・テロル(1:1) アダツ @jitenten_1503

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ