過去も現在も同一人物で在り続けた話
思春期真っ只中に使っていたノートを見つけた。埃を払って確認した中身は、とても、とてもイタかった。紙をめくるのも時折躊躇したほどには。衝撃的だった。だが、とても新しい感覚だった。その時何を考え、何に悩み、何故書いたのかもほとんど覚えていなかったから。どう見ても自分の筆跡であるのに、記憶はとても薄い。朧気にしか覚えていない。
あの頃は間違いなく、今よりずっとナイーブだった。きっと、その分感性も尖っていたのだろう。少なくとも今では思いつかない、「どうやってその言葉を選んだ?」と思うフレーズがいくつもあった。詩の一節にすれば印象的かもしれない。当時は詩を書こうなんて思いもしなかったけれど、詩的な表現が好きだったらしい。……いや、詩的なんて気取ったものではなく、ただパンチが強いだけの言葉だが。具体性に欠ける、組み合わせの悪い語句が好きなのは、ずっと変わらずにいるようだ。
ノートには本当に、詩にした言葉がある。詩を書くようになった後に思いついたものだ。過去に書いたとも知らずに、自然体でない単語を組み合わせている。「あぁこれは同一人物だ」と、当たり前のことを自覚する。覚えていなくとも絶対に、このノートは私の物なのだ。
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