第二章:水の星 〜Gifted Planet〜


わしは長く生き過ぎとる。

46億年以上は生きとるから、もう、何歳かも覚えておらん。


しかし、わしは一向に衰えない。


ここ最近、生物が誕生した。そして短期間で、多種類の生き物へと枝分かれし、進化してきた。特に感心したのは人間とやらだ。つい最近に生まれ、すごい勢いで進化を遂げ、勢力を広げている。しかし一番多いのは昆虫だ。寿命は人間と比べると少し短く、小さいが、それでも面白い能力を持つのが多く、見ていて、とても楽しい。


生き物が羨ましい。


わしは成長しない。


母を持つことはないし、子孫を作ることもない。


ただただ少し首をかしげながら眩しい、熱くて赤いものの周りをグルグル。


つまらない日々。


そう思っておった。




ある日、月が言った。


最近、どうだ?楽しいか?、と。


私は即座に云った。


 つまらない。生き物が妬ましい。私は何のために存在しているのかわからない。しかし死にたくても死ねない。苦しい。


しかし、月は云った。


 お前さんは特別なんだよ。


 ?何がだ?私が一番惨めなやつなのだぞ。


月はにっこりと笑って口を開いた。


 生き物を見たことあるのって、お前さんだけなんだよ。私には動物はいないし、他の星にもいないんだ。あの、星の王、太陽様だって、ご存知ない。つまりだよ、地球さん、お前さんは唯一、神の贈り物をもらっているんだよ。水が流れ、そこから、小さな小さな、生き物が誕生し、お前さんを潤す。とても幸せなんだよ。私なんて、しょっちゅう岩をぶつけられて、気持ちも星も、凹んじまってるよ。はは。


そうなのか。


こんなにも長く生きてきたのに、自分が特別なんだということも知らなかった。


 ありがとう、月よ

 

 ふふ。あ、今度金星さんとパーティーを開こうと思ってるから良かったら、来てね。


 ああ。


 じゃあ。





今では毎日が楽しい。


毎日、ごく小さなものではあるが、生き物は変化する。

たくさんの生き物が死に、たくさんの命が誕生する。


そして、短くても、暖かいストーリーが生まれる。


私だけの娯楽だと思うと、とても誇らしい。


自分の上で多くの小さな生き物たちが死んでいっているのを見ていると、未だに彼らがとても羨ましいが。


そして、他の星が少し可哀想だ。だから、月などに毎日、近況を話した。月は、いつもニコニコ聞いてくれる。


月は、小さな存在だが、私を助けてくれるパートナーであった。



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いろいろ短編集 月夜公 @tukuyonokimi

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