いろいろ短編集
月夜公
第一章:りんごの話 〜りんごは川に流されて〜
真っ白な、雪のような花が咲く
緑の小さな実できて
やがては真っ赤に熟すでしょう
その色は何色でしょう
それは恥ずかしがる乙女の色
それは日が海へと沈む空の色
それは咲き誇るバラの色
それは復讐に煮えたぎる炎の色
それは心和ます秋の楓色
お日様の陽を浴びて、とろけるような甘さになるのでしょう
蜂蜜のような
温めた乾酪のような
蟲が飲む蜜のような
でもそれはほんのいっとき
四季が巡って時が経つ
生き物の輪廻がいくつも起こり、新しい生物が生まれる
その長い川のほんの一寸のことでしょう
川の流れを止められたらどんなに良いことでしょう
いつまでも、真っ赤なりんごを見てられる
しかしそんなことは起きないのだよと、月が孤独に笑っています
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます