084 敗者の弁です。

 いや~、敗者の弁です。

 ワクチン接種後に公私で忙しく、一週間ぶりにようやく机に座ったところでカクヨムコン6の結果発表を知りました。発表から丸一日遅れです。拙作は最終選考にて涙を飲みました。

 元々読者選考の時点で使える良さそうなフレーズを予め考えておいたのです。一度諦めた、1/18の頃の話です。


「魔術師還らず。金のたまごも孵らず」


 おかげさまで上記を使う機会を得ずに読者選考は突破、卵は孵ることに関しては叶いました。ただし羽ばたくことは能わず。雛のまま巣の中で冷たくなりました。


 落ち込むほどではありませんが、ショックではないと言えば嘘になります。やはり悔しい。需要のなさは物語の出来でひっくり返してみせると意気込んで臨みましたが駄目でした。


 アフリカに病院を建てる。それは簡単な目標ではありませんでした。小説が映像化されることも、小説が人気を博すことも。全てが夢、幻と消えました。

 私の夢は書籍化ではありません。映像化されて、その知名度を利用してクラウドファンディングで資金を集め、最終的にはアフリカに病院を建てることです。カクヨムコン最終選考でそれに最も近づきましたがそこまで、また振り出しに戻りました。また初めから始めます。あの物語の主人公のように。




 カクヨムコン5は文字数がそもそも足りず参加できませんでした。

 カクヨムコン6は編集者さんを唸らせることができませんでした。

 カクヨムコン7は参加を留保します。


 自分なりに受賞作を分析してみました。今回の受賞作は異世界ものと異能力もの、恋愛ものがその大半のようです。どんでん返し部門の受賞作でさえ恋愛とVRMMOでした。

 ファスト小説全盛の今、それをひっくり返さんと送り出した処女作は敢えなく散りました。ファストフードも大変結構ですが、時にはカップラーメンや缶詰め、あるいは手の込んだフランス料理、母が作った味噌汁に魅力を見出してもと考えるのは素人なのでしょう。人気が出てこそビジネス足り得るのです。

 他で調べたコンテストも似たようなものです。純粋な作品の優劣ではなく人気、あるいはビジネスになる要素に順位をつけているように感じました。利益を得るためのビジネス、それを効率的に展開するためのコンテスト。

 考えてみれば当然です。受賞作はその後出版社が身銭を切って出版するのです。どんなに絵が綺麗なマンガでも、内容が面白くなければ読まれません。コミックも売れません。出版社は赤字になります。それと同じです。


 人気=売れる=受賞。

 それもただの人気では駄目です。大人気でなくては。

 どうやら作品を発表する門戸は広く開け放たれていますが、受賞するのは広義の異世界と恋愛のふたつに今は絞られるのかもしれません。特に最近はその傾向が顕著で。発表の場があっても受賞の可能性が皆無であれば、今後コンテストに参加する意義もありません。

 これではいま進めている新作など参加するだけ無駄でしょう。作品の発表はします。ですが今のままならコンテストへの参加は見合わせた方が賢明です。

 処女作へ読者さんを誘導する考えも、今後早い段階で抜本的な見直しが必要でしょう。それは発表してもいない新作が終わってからでしょうか。気が遠くなるような話です。




 ともかく処女作は散りました。ゆえにそれに付随した本エッセイもここまで。これにて一巻の終わりです。

 もしお時間が許すのであれば引き続き次回作エッセイの方でもご一緒いたしましょう。


 この度は大変長きに亘って小生への応援ならびに拙作の通読を賜りありがとうございました。拙作を愛してくださり光栄の極みです。あの作品はみなさまへの賛歌でした。みなさまの健康と今後のご活躍をあの作品の中でいつまでも祈念しております。


 2021年6月1日 おれごん未来

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変人おれごん未来の長編小説執筆エッセイ ~処女作執筆の歩み~ おれごん未来 @oregonian

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