202010 ジャパロボ 2

渋谷かな

第1話 ジャパロボ 2

「じゃあ、後はよろしく! 3! 2! 1! zzz。」

 車のジャパロボに乗り込んださとみは深い眠りに一瞬でついた。

「寝るんかい!? ってご先祖様が祐奈さんに突っ込んでいたのが目に浮かびますわ。はあ~。」

 人型AIロボットの令和ちゃんはさとみに、もう期待はしていなかった。

「リンク!」

 令和ちゃんは自分とジャパロボをワイヤレスで接続する。正に技術の進歩である。

「令和ちゃん、行きます!」

 こうして学校に向けて出発する。さとみと令和であった。

「車通学で学校まで行けるなんて幸せ。ドライブ楽しいな。これも祐奈さんが名誉日本帝国人だからね。アハッ!」

 ジャパロボ世界大戦で唯一AI搭載人型ロボット兵器のジャパロボの量産に成功していた日本は全世界の国々を蹂躙した。量産機に搭載したのが祐奈の戦闘データで世界征服に貢献したということで、広瀬家は名誉日本帝国人になった。

「ドカーン!」

「何!?」

 その時、近くの工事現場で爆発が起こる。

「近い!? 現場に急行しなくっちゃ!」

 令和ちゃんはエンジンを噴かせて事故現場に向かう。


「これは!?」

 目撃したのは一部の建設の資材が崩れて悲惨な現場になっていた。

「大変だ!? 誰かが下敷きになっているぞ!?」

「なんですって!?」

 事故現場で建材の下敷きになっている人々がいる。

「ガタガタガタガタ!」

 その時、また一部の建材が崩れて宙から降ってくる。

「危ない!? トランスフォーム!」

 咄嗟に令和ちゃんが叫ぶ。

「ガキン!」

 車型だったジャパロボが変形して人型ロボットになる。

「助けるんだ! うおおおおおー!」

 落ちてきた建材をジャパロボの両手で防ごうと受け止めようとする。

「掴めた!?」

 令和ちゃんは見事に降ってきた建材を受け止めて、周囲の人々や更なる被害を防ぐ。

「ふう、助かった。後は下敷きになった人々を助けるだけね。」

 令和ちゃんは安心して胸を撫で下ろす。

「グサッ!」

 その時、また建材が落下してきてジャパロボの体を貫く。

「う、うそ・・・・・・!?」

 想定外の二次攻撃を防げなかった令和ちゃんは力尽きる。


「ピーボー! ピーポー!」

 救急車の音がする。

「うわあ~! お昼の時間ですか?」

 眠っていたさとみが目を覚ます。

「なんじゃこりゃ!?」

 目を覚ますと、そこは被害現場だった。健在でぺちゃんこになってるコクピット。電気系統がビリビリと放電している。

「令和ちゃん!? ちょっと何があったのよ!? いったいどうなってるのよ!? 私が眠っている間に何があったのよ!?」

 隣で令和ちゃんはぐったりと横たわっていた。寝ていたさとみには何が起こったのか知る由もなかった。

 つづく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

202010 ジャパロボ 2 渋谷かな @yahoogle

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る