舞台は生徒会室。生徒会の仕事で遅くなった二人はカップ麺を食べるところから始まります。
それが積み重ねられた二人の時間。でも、もうそれは終わりを迎えようとしている。
その終わりに際して、いつもを繰り返す二人。
ずっと時間のかかるノンフライ麺を選んできた主人公。
そして、自分の分は二分早く出来上がる即席麺を選んでいるマーくん。
それでも、主人公の分が出来上がるまでマーくんはまちます。
そう、その差はマーくんが主人公のためだけに待つ時間となります。
生徒会で色々なことをしてきたけど、主人公のためだけに取ってくれるこの時間。このために、主人公は時間のかかるノンフライ麺を選んできた。
ここがとてもいい感じにしみ込んできます。それを堪能できるのは、時間の流れと匂いと色の使い方が、とてもいい感じに表現されているからでしょう。
刻々と過ぎる時間の中で、これまでの二人とこれからの二人。それぞれが歩む先に何があるのか。
セピア色に染まる情景とほんのり甘酸っぱいような感じを受け、どのような結末を迎えるか。
読書だからこそ味わえるそれぞれの感覚。それを見事に表現してくれています。