第2話 詐欺師 前編

俺は、平井竜次(ひらいりゅうじ)、詐欺師だ。

人は好きの大小で人を判断する自分のためにどんなに大きなことをしてくれるか、好きな物に対してどんなに大きなことをしたか、正直もっともだと思う。

それが一番わかりやすいし、何よりそんなものを求めているのだから。

しかし、俺はそれがたまらなく気に食わない。

だったら、もともとそんな大きなものをあげられないほど少ししか持っていなかったとしたらどんなに好きであったとしても小さくしか表現出来ないとしたらいったいどうしたらいいんだ。

それが俺だとわかっているから尚更気に食わない。

詐欺師になったのも結局そこだ。

小さくしか渡せないのだから精一杯こちょうしてやろうとがんばった、まぁ結局それは嘘な訳だが。

結局のところまた詐欺師になった理由について考えているのだ。

本当に居場所の亡くなった俺は居場所を作るのをやめ、居場所を奪うことにしたのだ。

どうせバレのであればバレる前に逃げることにしたのだ。

そうこう考えていると本日のターゲットだ。

名前は山中 一人(やまなか かずひと)。

とことん普通の人間だ。

狙ったかのようにな。

特別親しいものはいないが、逆に仲の悪いものもいない。

あー、唯一彼女がひとりいたかな。

こんなやつは大体自分が普通であることにコンプレックスを持っていたりする。

だが、俺は知っている。

普通であることは十分に幸せなことだってな。

まぁ、そこがねらうりゆうでもあるんだが。

ん、なんかおかしくないか、こいつ隣の家から出てきたぞ。

こいつが隣の家と中が良かったなんてこと無かったはずだが、まぁ、とにかく今回はあいつのしばらく会ってない幼なじみ笹木って奴がお金に困っているって設定だ。

さぁ、仕事の時間だ。

「おーい、やまなかー。」


私は私が呼ばれていることにすぐに気が付くことができなかった。

相手を動揺させて閉まっているようだ。

手を振るとササッと近づいてくる。

「よぉ、やまなかぁ、俺だよ俺笹木だよ。」

笹木確か私の幼なじみだったはずだ。

私は結構まめな人物だったようで自分の情報はだいたい書いてあった、ありがたい。

そうか、私の名前はやまなかと読むのかまた一つ私のことがわかった。

肩を叩かれる。

どうやら考え事に思考を持っていかれていたようだ。

「お前は昔からそうだよなぁ。ぼけーとしやがってその度に俺が助かてやっただろ。それでさぁ少しお返しをしてほしいだわぁ。」

私はそうだったのかと思いつつ

「というと?」

と返す。

「いやーよー、恥ずかしい話なんだが、企業したらしくじっちまってよ。お金貸してほしいんだわ。50万程貸してもらえればひとまずなんとかなるだけどよぉ。」

私は

「すまないが、それは出来ない」

そう返した。


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へのへのもへじ だいふく(くろあん) @daikuro

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