太陽と吟遊詩人

どこかの吟遊詩人の歌を


太陽が笑いました


吟遊詩人は言いました


なぜわたしの歌を笑うのか


太陽は言いました


つまらないからだよ


吟遊詩人は言いました


ひどい太陽だ


叩き落としてやる


太陽は言いました


できるものならやってごらん


ただし


わたしがいなくなったら


夜は終わらないんだよ


太陽があんまり笑うので


吟遊詩人は塵になりました


それから数百年経って


ミサイルが発射されました


太陽は粉々に砕け散りました


そして夜がやってきました


終わらない夜が


みんなは気づきました


ああ


夜とはこんなにも


美しいものだったのか


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詩集 ある世界主義者の憂鬱 朽木桜斎 @Ohsai_Kuchiki

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