神の御加護がありますように 1

渋谷かな

第1話 物語1

「待て! イース! フレッド!」

 いつものように孤児院ではシンディがイースとフレッドを追いかけている。

「止まったら殺される!? 僕は死にたくない!」

「同じ意見だ! 逃げなければ命はない!」

 イースとフレッドは命がけで逃げている。

「そんなに私の作ったカレーが食べたくないの!?」

 二人が逃げている理由。それはシンディの愛情のこもった手料理だった。

「僕は、この前の闇鍋で3日間も下痢になったぞ!?」

「俺は闇ラーメンで1週間も生死の境を彷徨ったぞ!?」

 二人ともシンディの手料理の犠牲者である。

「今回は大丈夫よ! 毒消し草も入れてあるから!」

 シンディの手料理の隠し味は毒消し草。

「前の料理も毒消し草が入っていたよな?」

「毒意外にも何かが入っているんだ!? 万能役のエリクサーも入れてくれ!」

 こうして逃げ足を鍛えるイースとフレッドであった。

「ああ~、こんなことでこいつらは国家騎士になれるのだろうか?」

 ミッキー神父は二人の将来を心配する。

「国家騎士になってもらわないと孤児院に寄付が入らないではないか!?」

 ミッキー神父はお金の亡者です。アハッ!


「さあ! 食べてもらうわよ!」

 遂に二人を捕まえたシンディ。

「僕たちが捕まるということは、僕たちよりシンディの方が強いのか?」

「それよりも、この目の前にあるカレーだ!? 具のレベルが上がっている!? シンディはこの材料をどこで手に入れているんだ!?」

 シンディのカレーは、スライムカレーでも、ウルフの骨付きカレーでもない。まるごとゴブリンカレーでもない。

「今日はシンディ特製、愛情たっぷりダークアイの視力回復カレーよ! アハッ!」

 禍々しいカレーにダークアイの目玉が浮いている。

「グ、グロテスク・・・・・・オエー!? 気持ち悪い。」

「闇カレーだ!? これを食べたら俺たちは天に召されるのでは!?」

 イースとフレッドは死を覚悟した。

「さあ~、召し上がれ。イッヒッヒッヒー!」

 シンディという魔女が食卓で笑っている。

「僕たちに神の御加護がありますように。」

「明日に会いたかったぜ。」

 二人は覚悟を決めてカレーを食べるのだった。

「ギャアアアアー!?」

「ウワアアアアー!?」

 そして二人の断末魔の叫びが孤児院に響き渡るのであった。

 つづく。

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