おわりに
私の手元に、香織さんからいただいた結婚記念の写真が二組あります。一組は、彼女が結婚した十二年前に私に届けてくれたものです。もう一組は、私が意識世界を再構築している時見つけたものです。六年ぐらい前に香織さんが自宅に遊びに来た時、
「ちょっと、面白いことがあるのよ。見てもらってもいい」
と私は香織さんに話しかけ、二組の写真を見てもらいました。一組目は、白いウエディングドレスを着てご主人と映っている写真です。香織さんは懐かしそうに眺めていました。そして、私が十二年前に頂いたもう一組の写真を見せると、きょとんとした表情になりました。彼女にとって、それはまったく見覚えのない写真だったからです。
「これ、私だよね。隣はウチの人だよね」
そこには、うす紫色のドレスを着て、ご主人と写っている香織さんがいました。まじまじと写真を眺めなおし、不思議でしかたないという様子です。
「現実はね。無意識によって創り出された意識世界だから、私の境涯によって、出会っている香織さんの過去の出来事も変化するのよ。どちらも幸せそうな香織さんだけれど、今の香織さんの過去は、この白いウエディングドレスのほうでしょ。私の意識世界が変化すると、過去に頂いた手紙や写真も変化してしまうのだけど、香織さんのこの写真だけは、同じ出来事の違う過去を残してくれたの。奇跡の一枚だから、本当に私の宝物よ」
笑いながら、私がそう言うと、
「それぞれの人が、自分の世界を創っているんだ」
と、香織さんは少し困惑気味に、またその写真を眺めていました。
香織さんは私が初任の時に担任して以来、三十年以上一緒に歩んできた人です。私に最初に『題目の宇宙のリズム』の存在を伝えてくれたのも彼女でした。そして信仰の原点を作ってくれた長男、時間を超えさせてくれた次男、十三年間を方向付けてくれた第三子の存在は、子は宝との意味を深く感じさせてくれています。また、私を見守り支えてくれている主人の存在は、多宝如来そのものでした。
父が残してくれた成仏相は、私に自分の体験を伝えていく後押しをしてくれました。宇宙は厳然とした法に貫かれ、私たちは一瞬この世界に生を受け、その境涯に応じた命の輝きのままに宇宙へと溶け込んでいきます。
無意識世界を体験した時、一瞬一瞬、自分自身の境涯が投影された時空が形成され、因果は同時に常に現実に存在していました。
人生は環境や相手ではなく、どこまでいっても自分自身の磨き方で無数の軌跡を描いていきます。仏法の真髄は、まさに自分自身にこそありました。私を支えてくださっている皆様に深く感謝すると共に、本書をお読み下さった皆様の幸せを願っております。
虹色の世界 et @etsuko1170
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