魔王に姫がさらわれて勇者が助ける物語ができるまで5

渋谷かな

第1話 王道5

「くらえ! 剣技! 二連斬り!」

「俺の得意技を受けてみろ! 強振!」

 イースとフレッドと雑魚モンスターの集合体のキメラとの戦いが始まった。

「ガオー!」

 しかし雑魚キメラは意外と平然としていた。

「攻撃が効かないのか!?」

「いや、効いていない訳じゃない!? こいつらのHPが高すぎるんだ!?」

 HPはヒットポイント、体力。要するにスライム1匹は一撃で倒せても、雑魚10体が合体すればHPは100になるという単純な話。

「ガオー!」

 雑魚キメラの攻撃。

「ウワアアアアア!?」

 雑魚キメラの攻撃にイースとフレッドは吹き飛ばされる。

「いたたたたたたたた!? なんなんだ!?」

「こいつ!? 攻撃力も10倍になってやがるんだ!?」

「10倍返し!? そんなのありか!?」

 ありなんです。アハッ!

「ガオー!」

 強くなって調子に乗り始めた雑魚キメラ。

「や、やばい!? 逃げないと殺されるぞ!?」

「だ、ダメだ!? さっきの攻撃で足が動かない!?」

 瀕死の重傷のイースとフレッド。

「ガオー!」

 雑魚キメラが動けない二人に襲い掛かる。

「ダメだ!? 殺される!? 何とかしてフレンドだけでも逃がさないと!?」

「クソッ! 俺の命はどうなってもいい! イースだけは助けるんだ!」

 イースとフレッドはお互いを大切に思いあった。

「ま、眩しい!? なんだ!? この光は!?」

「心に温かいものが生まれてくる!?」

 窮地の二人に神の御加護がある。

「友を助けようという強い気持ち! 僕の心に友情が宿る!」

 イースは友情のハートを手に入れた。

「どんな時でも仲間は見捨てない! 俺の心に絆が宿る!」

 フレッドは絆のハートを手に入れた。


「神父様。ハートって何?」

「ハートは神の御加護によって人間に与えられる心だ。与えられる人間の背をっている宿命のようなものだ。」

 孤児院でミッキー神父とシンディがハートについて話している。

「へえ、そうなんだ。私にもあるのかしら? ハート。」

「シンディは既に持っているよ。」

「え?」

「慈愛の心。慈しむハートだ。」

 誰の心にも信念はある。それがハートとして、心が覚醒するのだ。

「私は慈愛のハートを持っているんだ。アハッ!」

 自分もハートを持っていると知って嬉しいシンディ。

 つづく。

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