もう、ひとこと紹介に書いたとおり。
だれも居ない世界、空に浮かんだ街でそこから脱出しようと彷徨う少女の話。
現代的な構造物・世界には違いないのだけれど、そこに暮らす少女の息づかいが伝わってきそうな文章力はまさに圧巻。不思議な世界とそこでの生活というのを、ここまで生々しく描けるものなのかとちょっとびっくりしました。
ちょっとこれは余人をもってして替えがたいセンスであり、現代ファンタジー作品の中でも飛び抜けているのじゃないかと感じます。(あまり僕も多く読んではいませんが)
この文章に浸るだけでも読む価値があるのではないでしょうか。
最終的に少女は世界の謎にたどり着き、元の世界に戻るための試練に立ち向かっていくことになるのですが、せつなさと希望に満ちたラストもまた素晴らしい。
とても素晴らしい作品でした。おすすめです。
最初に読んだとき興奮で背筋の震えが止まりませんでした。
誰も居ない天空の浮島。そこに建つマンションには「住んでいた気配」こそあるが住人の姿はない。青空を見渡せば、いくつもの島が浮かんでいてどこにでも好きなように冒険することができる。
目覚めた途端、天空島に隔離されていた私は、島から島へと渡り元の世界に帰る手段を見つけ出す事が出来るのでしょうか?
なにこれ「まるで私向けに書かれているようだ」などと図々しくも思ってしまいましたよ!
漂流生活を強制されているのに「好き放題な王様生活」をノンビリ堪能してしまう主人公のキャラクター、丁寧に切り抜かれた街角の美しい風景描写。
そして、緩やかに忍び寄ってくるサバイバル生活の真の敵。
作中の仕掛けのどれもが計算されつくしており、たった一人の登場人物に読者が深く共感できるよう独創的な世界が構築されています。
私のように「自由な生活いいな~」と安易に考える人ほど、この物語は刺さるのではないでしょうか?
日常の有難みを忘れてしまった貴方へ、おススメです!
主人公の女子高生、鳴海は目が覚めると空に浮く島の上に建つマンションにいました。
鳴海は戸惑いつつも、この不思議な世界での生活を満喫するのですが、このままで良いのかと悩みはじめ、そして……
当初、鳴海は独りで過ごすことになります。
ですが、話が進むうちに新たな登場人物たちが現れます。
そして彼らとの関わりの中で、鳴海は自分の気持ちと向き合い、精神的な成長をしていく姿が印象的でした。
話が進むにつれて謎が深まり、ハラハラさせられる展開もあって、どんどんお話の加速度が上がっていきます!
恋、サスペンス、思春期の悩み、たった一人から始まった物語とは思えない色々な感情を呼び起こしてくれる作品でした☆
目が覚めたら空にいた。
冒頭いきなりの爽やかファンタジー。うわあっと憧れるような素敵な世界が広がっています。読んでいてワクワクします。
しかも、この世界、身体能力があがっていて、身軽にあちこち空島の上を渡って行けるのです。さらにさらに漫画やゲーム、あらゆる食べ物も洋服も自由に使うことができて……子供の頃、誰しもが一度はこんな生活を思い描いたことがあるのではないでしょうか、そんな素敵な世界に主人公はやって来たのです。
が。果たして、ここは本当に楽しいだけの世界なのか。
じわじわと不安が忍び寄ってきます。謎が増えていきます。
そして……
ものすごく魅力的で爽快感がある中で、ひっそりとした不安が付きまとう、絶妙な世界観で展開します。
主人公はこのあとどうなっていくのか、ハラハラしながら、ときに笑い、憧れ、そしてやっぱり不安になって、を繰り返していき、その先にたどり着く答えは……? 主人公といっしょに、この世界の謎が解けるのか、それとも……
予想がつかない展開が魅力の作品、おすすめです。
主人公はごく普通の、高校生の女の子……のはずでした。
しかしある日気がついたら、彼女がいたのはとある見知らぬアパート。もしかして、誘拐された? しかしよくよく調べてみると、不可解な事が。
なんと彼女のいるアパートは、空に浮かぶ島の上に建っていたのです。
これは現実? それとも、夢を見ているの?
状況を確認しようにも、何故か自分以外の人の姿はなく。
訳のわからぬまま天空マンションに一人佇む女の子の、サバイバルが始まります。
……と、ここまでが序盤のストーリー。
物語は中盤、そして後半に進むにつれて、話の雰囲気がガラリと変わってきます。
ネタバレになるといけないので多くは語れませんけど、きっと驚くはずです。
気がついた時には、空を飛ぶマンションにいた主人公、鳴海。
えっ、なんのことだかわからない? それは仕方ありません。鳴海もまた、同じような気持ちだったのですから。
わかっているのは、どういうわけか空を飛ぶマンションがあって、なぜか自分がそこにいるという事実。説明してくれる人どころか、彼女以外の人間は、一人としていないのです。
こんな訳のわからないところに一人なんて大丈夫? ですがこの世界、食べ物やライフラインは揃っていて、暮らそうと思えばいくらでも暮らせるという、非常に都合のいい世界。よけいに訳がわからなくなりますが、元の世界に戻る手立てがない以上、ここで生活していくしかありません。
生きていくだけなら不都合はないけど、どこか奇妙なこの世界。果たして脱出はできるのか。そもそもなぜこんな世界が存在しているのか。
見知らぬところで一人生きていく鳴海は、その先に何を見つけるのでしょう? そしてこの世界の真実を知った時、どんな選択をするのでしょう?