&α 女 爆発しそうな生きる理由(終)
彼の右手には、爆弾。さっきまでわたしの胸に挟んでしまってた。
彼の左手には、わたしの右手。繋がれている。
「暖かいね?」
「いや、俺は冷たい」
「そっか」
「洗脳。いつか解けると、いいな」
「私が死にそうになったら、あなたが助けるのよ」
「大変そうだな、それは」
「かわりに、あなたの傷を癒してあげる。頭も撫でてあげる」
「至れり尽くせりのアフターサービスだな」
「あなたの恋人ですから」
「とりあえず、爆弾処理のために近場の正義の味方に電話する。持っててくれ」
「あ、爆弾返ってきた」
「投げ捨てんなよ。爆発したら俺が悲しむ」
「それはいやね。じっと持ってるわ。投げません」
「もしもし。俺です。爆弾を確保しました。はい。屋上です。はい。お願いします」
電話中の頬に。
キス。
「あ、いえ。爆弾魔は回心したっていうか、ええと、そうだ。俺の生きる理由なので、彼女は。はい。大丈夫です。俺が側にいます」
爆発しそうな生きる理由 春嵐 @aiot3110
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