ダイエット

主城

ダイエット

 ある日のこと。

 二人の女子高生がカフェで駄弁っていました。


「……カナ。最近お腹出てきたんじゃない?」

「あー分かっちゃった? そうなんだよ。だからテレビとかネットとか見て、色々なダイエット調べてやってみてるんだけど、あんまり続かなくて……」

「そうなんだ」

「何かいいダイエット方法ないかなァ」

「あ。私いいの知ってるよー」

「本当!? どんなの!?」


「〈イカガワ式ダイエット〉って言うんだけど」

「イカガワ式ダイエット!? ……何かいかがわしいなァ……」

「そう。発案者の名前『伊加川いかがわしい』なの」

「完全にいかがわしいやん!」


「ザックリ説明するとね。色々な器具や体位を使ったダイエットで――」

「『体位』!? いかがわしいヤツやん!」

「何言ってんの。ヨガ的なポーズの事だよ!」

「そ、そうか。色々言い方あるもんね。ごめんね、何かちょっとした表現にもすぐに噛み付くフェミニストみたいな感じになってたわ」

「頼むよ本当に」


「道具も使うんだ? 何使うの?」

「用意する器具は、電動バイブのマッサージ器と」

「いかがわしいヤツやん!」

「ローション」

「いかがわしいヤツやん!」

「あと透け透けのスポーツウェア」

「いかがわしいヤツやん! 透け透けのスポーツウェアなんか着る機会ないもん! 完全に〈そういう趣味〉のヤツやん!


 ……ハァ、もういいよ。そんな怪しいダイエットするくらいなら、いっそこのままの体型でも――」

「バカァッ!! バキッ!」

「ビンタ!?」


「初めから勝手に決め付けてどうするの!? やってみないと分からないじゃないの! 経験しないままとやかく文句言うなんて、そんなの卑怯者と一緒だよ!!」

「ガーン!」

「どうしたの。急に自分で効果音言って」

「いやお前もさっき『バキッ!』って言うてたやん」

「私たちって自分で効果音使うタイプの人種だったんだね」

「どんな人種やねん。


 それより……ごめんユミ、私が間違ってたよ。何事もやってみなくちゃ分からないもんね」

「よく言った!」


「私そのイカガワ式ダイエットやってみるよ! 何をすればいいの?」

「まず股間にバイブを押しつけて……」

「結局いかがわしいヤツやないか!」


 絶交しました。


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ダイエット 主城 @kazuki_isiadu97

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