第9話 濁黒く。

黒くしなきゃ、人の汚い心のように。


黒くしなきゃ、悲しみの海のように。


黒くしなきゃ、世の中の夜のように。


暖かくて、優しくて、真っ白な心を


あなたは黒く染め上げた。


だから、

何もかも黒くしなきゃと思って塗ったんだ。


だけどね、どうしてもムラができちゃうの。

なんだか汚いね、あなたみたいに。


この鉛筆ね、

4回削ってやっと全部黒くなったんだよ?

あなたにピッタリね、4って数字。


でもさ、

そうやって塗ってる私って、

何よりも醜くて、

誰よりも濁ってる。


そう、

濁黒どすぐろく。


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