『自殺に見えない自殺の仕方』と私

 さて、ふたつめの方に行きましょう。『自殺に見えない自殺の仕方』です。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054919012366


 タイトルがなんだか物騒なんですが、本人としてはコメディのつもりで書きました。

 ただカクヨムのジャンルに「コメディ」がなく、じゃあ仕方ないなと思って「現代ドラマ」としましたが、後々いただいた感想には「ミステリーだった」というものが多かったです。

 なるほど、これはミステリーだったんだなと思い、講評発表後にジャンルを変更しました。フワフワしていてすみません。


 さて、『自殺に見えない自殺の仕方』、迷走しました。

 そもそも最初は全然違う話になるはずでした。C級ホラー映画みたいな話を作るつもりで、主人公の親友でありタグの「残念なイケメン」であるはるが、冒頭でいきなり電車に轢かれて死んだりしていました。その生首を主人公の直己なおみが怪しい博士の研究所に持ち込んで、よくわからん保護液で満たされた水槽に入れたら蘇生して、そこに陽を線路に突き落とした元カノが襲撃に来たりして……という、相当ゴキゲンな内容でした。

 ただ、元カノ(名前未定)が強すぎて倒せず、おまけに陽は生首で一切役に立たない(酸欠ですぐ寝る)。直己はただのお人よしだし、怪しい博士も戦闘ができそうにないジイサンでした。もう全員死ぬしかないじゃないか。

 おまけに、陽を水槽に入れるまでに4000字くらい使ってしまったので、これはイカンと思いボツにしました。


 さて、ここで一旦行き詰まりました。

 元々、ラストは元カノの首から下を陽の生首にトンデモ技術で移植し、よかったな巨乳になれてめでたしめでたし、といって終わるつもりだったんです。

 が、元カノがキングコングのように強くなってしまい、ドナーどころか殺すのが無理ゲーという事態になってしまいました。

 私は一旦頭の中にキャラクターのイメージができるとそれに従ってしまうので、このキングコングの頭部をピンポイントで破壊する方法が思いつきませんでした。いやマッドサイエンティストの研究室なので、たぶんトンデモ砲とかあるとは思うんですが、直己がそういうのを人間に当てられる奴かというとどうかなと。文字数的にも全員死亡で終わってしまう……。

 もういっそのこと陽が誰かのドナーになればいいんじゃないかな……と思ったところから、ようやく本作のあらすじができてきました。とんだ迷走でした。

 急に陽がいい奴になった(あと急に妹ができた)感があるのですが、とにかくまとまったのでよかったです。


 ちなみに「神ひな川にはイケメンが多いなぁ。イケメン出すかぁ」と決めた瞬間に、「イケメンか! 俺やな!」と突然関西弁のキャラクターが出来上がったのは謎です。

 私の中のイケメンのイメージはどうなっているのだろうか。ともあれ、陽のしゃべり方だけは迷走しませんでした。

 それと本編では出てきませんが、直己の名字は「幸村ゆきむら」ということになっています。名前だけはかっこいいというか、主人公感があります。


 さて、この話にはいくつか裏設定があります。

 今のところ決めてる情報はこれくらい……という感じで、あまりガッチリは決めていませんが、今後、彼らをどこかでリサイクルしないとも限らないので、メモ代わりに書いておきます。


・直己と陽の通う学校

「藤見台国際大学付属高校」という高校の1年生です。学業の成績によってクラスが分かれる実力主義社会で、1、2組が特進クラスです。ふたりは普通クラスの学生です。

 なお、1組に長谷部唯はせべ ゆいという女の子がいますが、通学カバンにネイルハンマーを入れて持ち歩いています。この話はイトリ川に流した『あたしは願いを叶えない』で。

 なお、ふたりが住む藤見台市ふじみだいしは結構大きな街で、地下鉄が結構発達していて便利です。藤見川という大きな川が流れ、川沿いには公園があります(リライト版の『穴』の舞台です)。

 また、藤見台医大附属病院(正しくは藤見台国際大学医学部附属病院ですが、長いので……)という総合病院があり、そこに陽の妹の伊奈子いなこが入院しています。

 なお、藤見台医大附属病院は『異界探検』や『眼鏡の似合う人』に登場する、竜野一樹たつの かずきの母親の職場でもあります。小児科の看護師なので、お母さんは伊奈子と知り合いの可能性があると思います。


・直己と陽が知り合ったきっかけについて

 最初は「家の近所に引っ越してきた」ということにしたのですが、作品を提出してかなり経ってから、「ふたりの家の最寄り駅が違う」ということに気付きました。近所じゃねーじゃん。いかに藤見台市の地下鉄の一駅間が短くても、一駅違ったらご近所さんとは言わないでしょう。

 まぁ陽たちの両親はかなり裕福なので(あちこち引っ越していたし、娘の心臓移植もしなければならないので、お金持ちでないと困りますよね)、「最初に直己の家の近くに引っ越してきてから、藤見台医大附属病院で信頼できる医師に出会い、腰を据えるつもりで少し離れたところに家を建てた」という言い訳を思い付いたのですが、作中からそこまで読み取らせるのは難しく、ただの矛盾に見えるだろうと判断しました。

 なので講評の発表後、当該箇所を「陽が同市内に引っ越してきてから、親の仕事繋がりで会った」と修正しました。直己の母親はプロの家政婦で、陽の家で働いていた時期があります(今はどうだろうか……)。そのつながりですね。

 そのため、陽は直己の母親を「○○さん」と名前で呼びます。


・「闇のファッションショー」について

 これ完全にどうでもいい話なのですが、陽の家で時々行われる闇の遊戯です。

 彼の母親(詳細未定。ただ陽は母親似です)ってあちこち出かける仕事をしてて、よくご当地Tシャツとか、変な柄の服とか買ってくるんですね。

 各自彼女が買ってきた変な服を着て、パリコレのランウェイを歩いてるようなスーンとした顔でリビングを闊歩してターンする。その間に笑ってしまった人が負け、というこの家族特有のゲームが「闇のファッションショー」なのです。一家全員が美男美女なので、やったら妙な完成度があって楽しいんじゃないかな……ちなみに笑ってしまった人はコンビニにパシられたり、家政婦さんが帰った後の皿洗いを担わされたりします。伊奈子が負けたら罰ゲームは陽がやります。

 単に私が「絶対こういうことやってるな」と思っただけで、物語には一切関係ありません。


 うーん、長くなってしまったのでこの辺で。何か思い出したら書き足しましょう。


 なお、登場タイトルは以下。

『あたしは願いを叶えない』

https://kakuyomu.jp/works/1177354054917922560

『リライト版 穴』

https://kakuyomu.jp/works/1177354054922701307

『異界探検』

https://kakuyomu.jp/works/1177354054914955783

『眼鏡の似合う人』

https://kakuyomu.jp/works/1177354054929857815

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