日本への想い

猫田

第1話

東京「……………」

府中「…東京さん、無理しないでね」

東京「大丈夫です。ありがとう、府中さん」

府中「…昨日は、177人だったね」

東京「……………」

 TVを付けると、もうすっかり見慣れてしまった言葉。

『…10月7日、水曜日の東京での新型コロナウイルスの感染者は、142人でした』

東京「…そうですか」

新宿「はわわ……」

府中「東京さん……」

新宿「東京、私たちは大丈夫だから…都民のこと心配してあげて」

東京「…はい」

 その直後、電話がかかってきた。

神奈川『…あ、もしもし??』

東京「おはようございます、神奈川さん」

神奈川『まだ外暗いけどね…おはよ。』

東京「用件はなんでしょう」

神奈川『用件とかじゃないさ、ただ普通に暇だっただけ』

東京「…寝たらいいでしょう」

神奈川『ええ?冷たいなぁ…いやぁ、寝れないんだよね』

東京「こちらは寝る暇など無いのですが」

神奈川『…どうした東京?ちょっと怒ってんのか?』

東京「そういうわけでは…疲れてるんです」

神奈川『ま、そりゃそーだよな、あんだけ感染者出ときゃ…会議とか大量に入ってんだろ?』

東京「当たり前です」

神奈川『うわ、俺なら耐えきれねぇ…流石東京だと思うよ。忍耐力すごすぎ』

東京「…でも、神奈川県も大変なんでしょう?」

神奈川『そりゃ俺も大変だけど…緊急な事がない限りこんな夜中に会議なんてしないよ、うちは』

東京「………羨ましいです」

神奈川『…ねぇ、東京?俺さ、まあ暇潰しの為にも連絡したんだけどさ』

東京「なら忙しいので切って良いですか」

神奈川『ちょいちょいちょい!?待て!良いこと思い付いたの!!』

東京「はあ……なんですか」

 そして神奈川は息を整えてこう言った。

神奈川『土地神みんなで旅行し合お!!』

東京「……………………は?」

 神奈川の突拍子のない発言に、耳を疑った。この時期に、皆で旅行?

神奈川『ほら、東京もオフとかあるだろ?』

東京「僕はアイドルじゃないんですよ?」

神奈川『そこをなんとか!休み取って!お願い!!』

東京「神奈川さん?何馬鹿なこと言ってるんですか…今はこの感染が広まっている時期!旅行なんてあり得ません!だいたいどこに行くんですか!!」

神奈川『いやぁ、色んなとこ見て回るかな~』

東京「はぁ…なぜそんな事を堂々と…」

新宿「旅行!?ほんとに!?」

東京「こら新宿!入ってくるんじゃありません!」

神奈川『ははは、新宿ちゃんお久!元気してた?』

新宿「うん!神奈川は元気してそうでよかった!」

東京「………………」

神奈川『あ、ちょっと待って!呼び出し食らった!』

東京「よく会議をそんな学校みたいなノリで…」

神奈川『ごめん!とにかく東京休み取っといてね!絶対!!』

 という神奈川の発言が終わった瞬間通話が切れた。

東京(…なんて都合の良い人なんだ………)

 幸いなことに、来週の日曜日は休みである。…せっかくの休みなので、家でゆっくりしたかったのだが。

東京「…皆Gotoトラベルとやらで調子に乗りすぎなんですよ…」

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日本への想い 猫田 @kantory-nekota

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