素朴な語りと魔女との温かな時間が魅力的な作品です

突然、国を魔法で守る偉大な「魔女さま」に呼ばれた田舎の少女、ジェシカと魔女さま、レクシーとの交流と、受け継がれていく魔女の使命を描いた作品です。

一人称の文章には、気取らない素朴な雰囲気が滲んでいて、ジェシカの人となりがよく伝わってきます。
読んでいてとても心地いいものでした。

レクシーさまとの会話も、冗談と温もりに溢れたもので、二人の間にある繋がりが、お話として大袈裟なものではなくても、二人にとっては特別なもの、他の人との間にはないものであったのだろうなというのが、感じられました。

魔女に課せられた宿命は、なかなかに辛いものだけれど、それでも読んでいて悲観的な気分にならないのは、代々受け継がれてきた魔女と少女の繋がりが温かなもので、それが最期の時であり、また始まりの時でもある「魔女の味」にも感じられるからかなと、思いました。

独特な設定や世界観だからこそ、ストーリーは複雑ではないのに予測できません。
そこも、またとても魅力的でした。

少し残酷で、とても優しい物語でした。

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