第6話
夏季休暇を間近に控えた夜。リビングでは
無事に仲直りをした二人は、
「でも本当に良かったのかな、彼女も一緒で」行彦が言う。
旅行には
だが心配する行彦をよそに湊は何てことなさそうに答える。
「当たり前でしょ。友達なんだから」
今回の一件で、行彦は彼女たちの
いっぱい悔やんで、いっぱい泣いて、この夏、多くの
だが残るものが痛みだけとは限らない。
この
しかし湊が髪を掻きあげたとき、行彦はそれを眼にしてしまう。彼女の耳元を飾る、深みのある緑のイヤリング。
「それ、どうしたの?」少し浮いたデザインに、ふと妙な胸騒ぎを覚えて訊ねる。
「前からあるわよ。結構気に入ってるから何度もつけてるんだけど……気付かなかった?」
湊が口角を吊り上げて笑む。笑っているはずなのに、行彦にはなぜかひどく粘っこい不気味な表情に感じた。
その時、彼の脳裏に記憶が甦る。かつて京が口にした言葉だ。
――女はみんな、すべからく欲張りなんですよ。
ラウンドアバウト おこげ @o_koge
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