14.
声が聞こえたような気がして、
でも気のせいだと思い直した。
姫は、呼んでも出てこなかった。
……昨日のことを気にしているのか?
まあ、またあとで呼べば、何事もなかったかのように出てきてくれるだろう。
そう、少し寂しい気持ちを振り払って歩き出そうとした、その時、
背後から誰かが近づく音がした。
振り返ると、
白銀の髪。白い肌。
小さな小さな女の子。ひとりきりだった。
僕が彼女と出会った時と、おんなじだ。
感情に揺さぶられて何も言えずに立ち尽くしていたら、女の子が言った。
「この音」
「音?」
僕には聞こえない。
「オルゴールの音。あとお花のにおい。
呼ばれてきたの。なんだか、お母さんに抱きしめられているような、そんな優しい歌なの」
白銀と姫 あるまつくみ @takasagokizuna
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