屏風のぞき

作者 武江成緒

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★★★ Excellent!!!

一人称の体験談による物語は、リアリティーラインを引き上げる効果があります
この作品はそれが巧みです
それは物語をより恐ろしく、何より語り手の息づかいまで感じるような臨場感を演出しています
読者の嫌な胸騒ぎが最高潮に高まったところで、語り手が距離を詰めてきた時の恐怖を是非味わってください
オススメです

★★★ Excellent!!!

妖怪とはいったい如何なるものであろうか?
そんな深淵の底をのぞき込むがごとき、本質に迫る恐怖譚です。
「屏風のぞき」なる高名とは言い難い妖怪をテーマとして、ただ屏風の向こうから覗き込むだの妖怪の話で、恐らくは鳥山石燕が残した妖怪画から着想を得て……ここまで掘り下げた話が作れるとは、素晴らしいの一言です。

柳田邦男先生はこう語っています。
「妖怪とは零落した神である」と。
しかし、それでは猫又はどうなのか。元は人間だったものが妖怪化したものだってあるのではないか。そう疑問を抱かれた方もいらっしゃることでしょう。
しかし、それは解釈の違いというものなのです。先生のおっしゃりたかった事は恐らく「信じる心」信仰心についてなのです。
たとえ一枚の屏風に過ぎずとも、しかるべき手順を踏めば妖怪に至る。この作品を読めばそれが納得できるのではないかと思います。

妖怪好きであれば是非!