第10話 奇跡と仲直り

「なんで……怒ったんだろうな〜」


 ただのアニオタの俺が分かるはずもなく、蹴られたところが痛みながらも春野はるのと話す。


「私は初めて妹さんに会ったから知らないけど、田中優弥たなかゆうや君という人の事なら知ってるよ」


「あれ?まだ付き合ってそんなに経ってないよな?」


「気づかないよね、普通……

 あの時、助けてくれてありがとう!」


 春野はるのはいつもしているポニーテールを解き、地味な髪型になる。


 この時、小学校の時に助けたあの女の子の姿と目の前にいる自分の彼女の姿と被る。


「自分から気づくまで待ってたのに残念。

 あの時みたいに、君の勇気見せてよ!ちゃんと妹さんと仲直りしてきて!」


「な、なんでそこまで……」


「君は今も昔も変わらない優しさを持ってる!なんで喧嘩してるのか知らないけど、それは君の優しさが原因なんでしよ!私にお礼も言わせてもらえなかったもんね!」


「なんでそんなことが……分かるんだよ!」


「分かるよ!だって私は君の彼女だもん!」


「っ!」


「大丈夫、優しい君ならできるよ。仲直り」


 俺は色々と驚きすぎて、胸いっぱいで吐きそうだが、彼女の言うことを信じることにする。


「言っとくけど、喧嘩したきっかけはあっちだからな……」


「分かったから、行ってきて。あの時よりもっと格好いい所見せてよね」


 俺は妹の所へ行く。


 妹の部屋に入るのはいつぶりだろうか、俺は勇気をだしてノックする。


「何?」


「その、ごめん。それだけ……」


「待って!私もごめん」


 その後から、彼女のおかげで次第に仲直りすることができた。


 もう、こんなことがないように気をつけることが兄としてできる今の最善であることをこの時学んだのだった。
















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

妹が嫌いすぎて彼女をつくったらキレられました 歩く屍 @fb25hii

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ