なんて素敵な物語でしょうか。読み終えたとき、わたしも魔法をかけられたようなきもちになりました。誰かに魔法を掛けるおしごと。この物語の題材となっているデザイナーは勿論、小説家も女優もきっとそうですね。それはともすれば、ほんの細やかな魔法です。たった一着のお洋服が希望や夢をあたえてくれたり、ほんの一節の言葉がひとつ前に踏みだす勇気を授けてくれたり。けれども、そうしたものが時に人生を大きく分岐させるくらいのおおきなちからを宿します。だから魔法。この小説もそう。胸がぽっと暖かくなる、きらめくような魔法の物語でした。
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