僕が。

k

君が。


僕がこの世界から消えてしまおうと思ったのは、君が向こう側にいるから。

向こう側にいる君に、会いたかったから。


いつもの道の途中の自販機とか、土手の手前の古い標識とか。

そんなものも全部君との記憶に繋がって、なんだかやるせない気持ちになったから。


死んでしまえば君に会えるから。

そう軽く思っているから何度か死んでしまえるタイミングを逃して。

だからまだ死ねていない。




まだ死ねずにいる僕は。

簡単に思えていた死が、思ったよりも面倒なことに気づいてしまって。

僕は天国には行けないだろうから君には死んでも会えないのかな、とか。


カメラの中で笑う君とか、君に貰った鮮やかな絵。

そんなものも少しずつ僕に生きる理由を見い出せと訴えているような気がして。


向こう側にいる君に、怒られてしまうと思ったから。

僕がこの世界にまだ生き続けているのは、此処に君が生きた証があるから。



















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

僕が。 k @AonoHibiki

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ