決意と覚悟を持って

「…………俺は、人と人の間に『差』があるのが嫌いなんだ。まして俺は『王』。君は『奴隷』。こういう格差だけでものが見えるようにしてしまう、今この国で統一されている法も、何もかもが」


 ただ少女は頭を上げて、目を丸くして声を聞く。


「俺は奴隷の扱い方を知らない。優しく接しれば怒られ、暴力を振るえば肯定される。そんなことが、嫌いなんだ」


「…………」


 ただ少女は黙って耳を傾ける。だがその目は次第に、何かに魅了されているような色を帯びてきた。


「俺は国を変え、世界を変え、法律でさえも変えてみせる。この世の奴隷――――いや、苦しんでいる人のために」


「…………分かりました」


 全てを理解したのか、彼女はなめらかに立ち上がって、主人の顔を、目を見て、こう言い放った。


「主人の在るところに従者在り。ボクで良いのならば、全身全霊をかけてその身を守り抜きます。」


「…………よく言ってくれた。ありがとう。それじゃあ記念に、俺からプレゼントをしよう」


 リースは彼女の前に立ち、その紫紺を帯びる髪と共に頭を撫でた。



「『フォー』。今日からそれが――――お前の名前だ」



「…………はい、主様!」

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スードラ・メモリィ いづな @iduna_Lim0

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