第17話 ゴーレム

 階段を降りると大きな木製の門があり門の両脇には巨大なゴーレムが1体ずつ並んでいた。


「動き出したりしないよな?」


 一応石像に聞いてみるが全く動く気配がないので、恐る恐る石像に触れてみるが全く動かない。扉にタッチし走って逃げるが石像が動く様子はない。

 よかった〜。ちょっと動いて欲しかった感があったのは否めないけど動かなくてよかった〜。

 安心してドアノブを持ち扉を押す。

 あれ?硬くて開かないぞ?

 ガタンッと重いものが動く音がした。扉が開く様子はない。

 背中に大量の汗をかきながら振り返ると2体のゴーレムが槍を持って俺を見下ろしていた。慌てて階段の方へ走るが階段が見当たらない。

 トラップのようで階段が天井に収まり無くなっていた。


「クソッ、俺はこれが初めての公式ダンジョンなのになんでだよ!」


 諦めて振り返りゴーレムに向き合う。ゴーレムは1歩、また1歩と確実に近づいてくる。

俺はブリューナクを鞘から抜き構えるが今の俺の実力では敵わなさそうだ。最悪、源神化を使えばなんとかなるか?ゴーレムから感じられる気配は今の俺が源神化を使って勝てるかどうかというところだ。1体ならなんとかなっただろうが2体だと倒し切る前に源神化が解ける可能性がある。

 ついに俺の目の前までゴーレムが来た。


「オマチシテオリマシタ、キゲンジンサマ」

「え?」


 全く訳がわからず間抜けな声を出したが、恐らくこの機械音はゴーレムが発したものだ。


「起源人ってのは俺のことだよな?待ってたってどういうことだ?敵じゃないのか?」


 ゴーレムは俺の質問に対して機械音で辿々しく答えてくれた。

 起源人は俺だけではなく、この職業を選んだ8人全員を指すそうだ。神様がダンジョンという天災の救済措置として全てのダンジョンに隠し部屋を設置したそうだ。起源人以外は扉を開くことができないが、壊すことはできるためゴーレムはそれらから扉を守っているそうだ。ちなみに扉は押すのではなく引いて開けるらしい。

 扉を開けると、待機部屋と同じ造りだが寝具やソファーなどがあり休憩する事ができるようになっていた。さらに人くらいの大きさのゴーレムが配置されており清掃や料理など身の回りの世話をしてくれるそうだ。食材は自身で持ち込む必要があるそうだが。

 また、ここの休憩所は全世界のダンジョンどこからでも繋がっており行ったことのあるダンジョンに限りではあるがワープゲートの役割も担っているそうだ。取り敢えず多くのダンジョンに入るという曖昧な目標が俺の中でできた。

 ここへの入場は俺が初めてらしいが、そのうち8人で会ってみたいな。

 そんなことを考えながら休憩所を後にし、もう一度ダンジョンの探索へと足を踏み出した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

俺の押し入れはダンジョンとミステリー商店!?〜現実世界にダンジョンができたけどミステリー商店を使って無双したい〜 はしまき @hashimaki

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ