第25話 無駄な悪足掻きはしません
「西の砦『
ライザームの宣言に伴い、パラドスとノゾムが広場の中央に現れると同時に、他の者は広場の端に転移する。
剣と盾を構えるノゾムに対して、暗灰色の肌のパラドスは、右手に片手剣、左手に魔法の杖と、両手に持って身構えている。
「西の砦、パラドス、いざ参る」
「応!」
ノゾムが短くはっきりと応える。
「『
まずパラドスが先手を取り、魔法の杖から火球を繰り出す。
ノゾムは盾に魔力を練り込み、火球を叩くように潰して、剣を振りかざす。パラドスが剣を剣で受ける。
パラドスが押し負けて剣を引くが、間合いを取ればパラドス優位なので、ノゾムは更に間合いを詰めるべく踏み込む。
パラドスは杖を構え『空間転移』した。一瞬、ノゾムはパラドスを見失う。
「『
パラドスの剣撃が、風の斬撃となってノゾムへ飛ぶ。
気配を察知してノゾムが背後へ揚げた盾が、なんとか受ける。
押されているように見えるが、杖と剣双方に魔力を使っている分、パラドスの魔力消耗は激しい。
更に、杖からの『火球』呪文と剣からの風の斬撃を繰り出すパラドスに、ノゾムはわざと間合いを取り、パラドスの魔力切れを煽るように杖の呪文と剣からの魔力の斬撃を誘う。
ノゾムは剣に纏わせる魔力を少し増やして、半端な呪文や魔力撃は切り捨てる構えを崩さない。
それを察してパラドスは構えを解いた。
「降参いたします」
パラドスも奥の手は見せられないと覚悟したのか、両手を上げて降参した。得意の杖からの呪文と剣からの魔力撃の連続技は強いが、それを封じられてダメージ無しでは、表面上これ以上の打つ手が無い。
「パラドス、更なる研鑽に励めよ」ライザームが、言葉少なに述べる。魔将級の試練が立て続けの中、パラドスは、自力を弁えていたし、実力も見せたが、ライザームが認めるには僅かに足りなかった。
あっさりと試練は終り、広場には喧騒が戻ってきた。旧交を温める会話やよもやま話が飛び交う。
「今回の至分の試練では。クルシアス殿がハラック閣下の後継と認められたが、そろそろムリュース殿にもサクレイ閣下の後継の声がかかっても良い頃では?」
「
ポーシュの言葉に、ムリュースが生真面目に応える。
「この東の砦では、我らが最古の四天王閣下は、最後の五芒星将となるまで、第一線を引く気が無い有様で、後継の立ちようも無く。元より配下筆頭はポーシュ兄者であれば、配下の我々に争いも無く平和なもので」
クローチの軽口ひとつで説明を終わらせようと言う東の砦も同様に、当代が元気過ぎて後継の話に現実みが無い。
四天王が倒せません 大黒天半太 @count_otacken
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